エンザルタミド迅速承認 米Medivation/アステラスすでに発売準備
公開日時 2012/09/14 04:00
米Medivation(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)とアステラス製薬が共同開発していた抗がん剤(アンドロゲン受容体阻害剤)Xtandi(エンザルタミド)が、審査終了目標日よりも約3か月早く承認されたが、Medivationとアステラスは、レイバーデイ(9月第1週の月曜日)直後には、早くも発売を予定している。
同剤の適応は、ドセタキセルによる化学療法受療経験のある転移性去勢抵抗性前立腺がん(MCRP)。同剤はMedivationとアステラスの米国法人Astellas Pharmaが共同販促するが、Medivation は60名、アステラスは90名のMRで販促を展開する。
MedivationのDavid Hung共同創設者、社長兼CEOは、同剤が同社初の上市品となるので、両社は同剤に高い優先度を置いていると話している。
また、Hung氏は、食品医薬品局(FDA)が、Xtandiの承認審査をタイムリーかつ迅速に行ったことを評価すると同時にMedivationの開発チームが同剤を前臨床から承認まで7年間で行ったことを称賛した。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のRichard Pazdur血液・腫瘍製品部長は、同剤承認リリースで、「進行前立腺がんの治療オプションが追加される必要性は患者にとって重要であり続ける」とコメント、同剤の登場を歓迎した。
Hung氏は、「我々は前立腺がんの全ての標準治療が奏功しなかった男性に新たな治療オプションを提供できることにわくわくしている」と述べたうえで、「Xtandiのプロファイルを見れば、男性のがんによる死因の第1番による疾患に苦しむ患者や医師にとって非常に価値あるオプションとなりうる」との期待感を示した。
同剤のラベルの警告欄には痙攣発作との関連が記載された。同剤のピボタルな臨床試験では痙攣の既往歴のある患者は除外されていたにも関わらず、プラセボ投与群ではゼロだった痙攣が、同剤投与群では800例中7例発症した。そのため、FDAは、Medivationとアステラスに対し、痙攣のリスクを評価するために約350例を対象にオープンラベル承認後臨床試験の実施を求めている。データは2019年までにFDAに提出される予定。
証券アナリストらはXtandiの承認を高く評価しているようだ。Leerink Swanのアナリスト、Howard Liang氏は、「Medivationは規模の大きな薬効領域で潜在力のあるベスト・イン・クラスの薬剤を持った中堅規模のバイオテク企業として非常に良い位置につけている」と評価している。
Aegis Capital Corpのアナリストも、エンザルタミドの市場への新たなアプローチ(作用メカニズム)は、最も魅力的な方法だと指摘したうえで、「本剤の承認でMedivationは現在のパートナーのアステラスあるいは前立腺がん市場に関心のある他社の買収のターゲットになるかも知れない」と話している。他社として、アボットラボラトリーズやアストラゼネカを上げた。
Xtandiの主な競合品は、2011年4月に化学療法後のMCRPで承認されたジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のZytiga(abiraterone)のようだ。同剤が現在市場を主導している。J&J子会社ヤンセン・リサーチ&デベロップメントは8月29日、アンドロゲン枯渇療法無効後の無症候性もしくは軽度症候性MCRPに対するプレドニゾロンとの併用による効能追加の申請を行い、6か月の優先審査に指定されたことを発表した。
一方、Medivationとアステラスは、Xtandiの化学療法治療前の広範囲な適応について一連の臨床試験を実施中だ。
The Pink Sheet 9月3日号