GSK、HGS買収でBenlysta獲得も、その成果は?
公開日時 2012/08/01 04:00
英グラクソスミスクライン(GSK)は、米ベンチャーのヒューマンゲノムサイエンシズ(HGS)の買収に成功、全身性エリトマトーデス(SLE)治療薬Benlysta(belimumab)を獲得したが、同剤が想定ほど成長していないため、同剤の今後に懸念が示されている。
GSKは、当初、HGSに対して買収価格を1株当たり13ドルで提案していたが、HGSはGSKに対し、「ポイズン・ピル」を採用、GSK以外の買収者を求めたが、結局、GSKが買収価格のアップに応じ、両社は7月16日、1株当たり14.25ドル、総額36億ドルでの買収に合意したことを発表した。
GSKとHGSは、1993年以降提携していたが、FDAがBenlystaを承認した2011年3月に提携の成果を初めて果たした格好となった。同剤は1958年以降では、SLEの治療薬としては初めてで、ウオール街は2016年までに50億ドルレベルの売上になると期待感を示していた。GSKとHGSは、同剤の薬価を年35000ドルと設定した。
しかし、9か月後、2011年初年度の売上は5230万ドルで一般的な予想よりも低かった。HGSの株価は下落、現在フェーズIIIに急性冠動脈疾患治療薬darapladibと2型糖尿病薬albiglutifde(GLP-1阻害剤)の2剤(GSK提携)が控えているにもかかわらず、一部アナリストは同社の格付けを下げた。
HGSは2月の業績発表で、同剤の伸びは緩徐だが直実に伸長していることを報告、2014年には収益が出る方向に向かっていると株主の不安一掃に努めた。また、270例の患者について80%のリウマチ医がBenlysta投与後、疾患の1つあるいは2つの症状の改善を示した結果を提示、同剤の有効性が高いことを改めて訴えた。
BMOキャピタルマーケットのアナリスト、Jim Birchenoug氏は、GSKがHGSを買収するために価格を上げたのはHGSのフルの価値を認めたもので適切と評価したうえで、「GSKとHGSがBenlystaを共同販促し、米国売上はHGSの独立採算にしつつ、Benlystaを完全掌握することがGSK買収の要因になったことは間違いない」と指摘した。しかし一方で、同氏は、darapladibが市場に参入するチャンスは10%しかないと厳しい見方を示し、「混雑したGLP-1」市場に参入するalbiglutideの価値については、特にコメントしなかった。
GSKは同2剤についても完全な実施権を獲得、HGSは同剤が市場参入したらロイヤルティを受けとることになっている。
GSK広報は、Benlystaの採用は緩徐だが着実に伸びているとして、同社の抗体医薬販売戦略には方針の変更はないことを明らかにしている。
The Pink Sheet 7月23日号