EFPIA ドイツ政府にAMNOGの見直しを求める
公開日時 2012/06/26 04:00
欧州製薬団体連合会(EFPIA)は6月8日、ドイツ・ベルリンで会合を開き、ドイツで昨年から導入されたAMNOG(医薬品市場改革法)に基づく費用対効果の評価について、製薬企業の開発意欲を削ぐことや患者への新薬アクセスを制限することなどから、ドイツ政府に見直しを求めた。
EFPIAのRichard Bergstrom事務局長は、「ドイツは歴史的に市民の(医薬品への)アクセスが早く、新薬やワクチンの価値を十分に認識した国で、欧州をその面でリードしてきた」とした上で、AMNOGの施行でこの地位が脅威にさらされていると指摘した。
また、医薬品の価値を反映した価格付けのために、医薬品自体の評価やヘルスケアに関する予算の管理の重要性を指摘。その上で、「AMNOG施行には非常に失望した。問題は、同法が部分的には欠陥を持ち、その解釈に柔軟性がない、解決策を生むことを嫌っていることにある」とAMNOGの運用が成功していないことや法律として、不完全であることを懸念した。
新薬の申請に際しては、申請者は、新薬が参照薬よりも費用対効果が優れていることを示す必要がある。これに対し、EFPIAは、申請者と欧州医薬品庁(EMA)との相談後の開発プログラムで選択された薬剤と、参照薬とがしばしば異なることが判明したと指摘。「実際の参照薬の選択は、新薬の価格を後発品価格並みにさせるために使用されている」と反発をみせた。さらに、臨床的ベネフィットを持つ画期的新薬の価格を従来の薬価に引き下げることについても、「人生を変えるような薬剤の発見を損なうものだ」と非難した。
Bergstrom事務局長は、「(AMNOGに基づく)現行のやりかたは、製薬企業を存続させ、新規の投資を誘致しようとするドイツの国およびドイツ国民にとって好ましくない」と指摘。
同評価システム導入当初の意図についての正当性を認めた上で、実用モデルに移すプロセスで何かが失われたと分析。「AMNOGは、まだ学習段階にある。我々は、ドイツの患者のニーズを満たすような方法で、AMNOGが運用されるように関係者とともに取り組んでいく必要がある」と同法の見直しに協力していく考えを示した。
ドイツ製薬工業協会(VFA)のBirgit Fischer事務局長は、欧州の医薬品業界の投資はドイツがリードし、欧州の競争力を堅持してきたと説明。その上で、「ドイツ政府が選択した道は、患者の健康とイノベーションの本拠地としてのドイツの評判への挑戦だ。難しい問題だが、EFPIAとVFAは、AMNOGと参照価格制度が直面する課題について、実際的な解決策を見つけるために、ドイツ政府や疾病金庫に対して建設的な協力をしていきたい」と決意を見せた。