【中医協総会 11月13日 議事要旨 認知症薬への対応、新規薬価収載、最適使用推進GL、費用対効果評価の結果を踏まえた薬価の見直し】
公開日時 2024/11/14 06:01
中医協総会が11月13日に開かれ、高額医薬品(認知症薬・ケサンラ)に対する対応、医薬品の新規薬価収載、最適使用推進ガイドライン、費用対効果評価の結果を踏まえた薬価の見直しについて議論した。本誌は、診療・支払各側委員の質疑について発言内容を議事要旨として公開する。
小塩会長:最初に高額医薬品(認知症薬)に対する対応について議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
(事務局説明 略)
小塩会長:はい、ありがとうございました。それではただいまの説明につきましてご質問等ございましたらよろしくお願いいたします。よろしいでしょうか? 特にご質問等ないようですので、本件につきましては中医協として承認するということでよろしいでしょうか?
(各側了承)
小塩会長:ありがとうございます。それでは説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
続きまして医薬品の新規薬価収載等について、および最適使用推進ガイドラインについて議題といたします。この二つの議題は関連いたしますので、併せて審議することといたします。本日は薬価算定組織の前田委員長にお越しいただいておりますので、前田委員長よりご説明をお願いいたします。
(前田委員長の説明 略)
小塩会長:詳細なご説明ありがとうございました。引き続き、事務局から補足説明をお願いいたします。
(医薬品の新規薬価収載等および最適使用推進ガイドラインについての事務局説明 略)
小塩会長:はい、ありがとうございました。以上の説明につきましてご質問等ございましたら、よろしくお願いします。最初に長島委員お願いいたします。
長島委員:ありがとうございます。資料「総-3―1」の最適使用推進ガイドラインに関連して、事務局に2点おたずねします。
1つ目です。レケンビとケサンラの使い分けについて、参考となる資料等の提供は予定されているのでしょうか?
2つ目です。レケンビとケサンラの両剤を途中から切り替えて使用するとの事例も想定されているのでしょうか? 私からは以上です。
小塩会長:長島委員から2件ご質問がございました。事務局いかがでしょうか?
事務局:審査管理課長でございます。まず、2剤の使い分けについて参考資料ということについては特段今の現段階では考えてございません。かなり(両剤が)似ているということでありますけれども、用法用量が違ったりなど条件が違いますので、そういった条件を踏まえまして、医療現場でご判断いただけるということになるかと思っております。
それから両剤を切り替えることについてですが、基本的にはこれは一つの製剤でずっとやっていただくということが大前提というふうに考えてございます。以上です。
小塩会長:長島委員いかがでしょうか?
長島委員:使い分けや位置づけについては、例えば関係学会等に協力をお願いして、何か参考となるような資料の作成について協力をお願いできればと思っております。2つ目の使い分けにつきましては、今後そういうような事態が発生した場合に備えて、そういうことが起こった場合、保険診療の扱いはどうするのか、あるいは最適使用推進ガイドラインにどのように記載するのかというようなことも検討いただけると思います。そのような形でしっかりと検証、検討が可能な体制を整えていただくということを検討いただければと思っております。以上です。
小塩会長:ありがとうございました。森委員お願いいたします。
森委員:はい、ありがとうございます。詳細なご説明ありがとうございました。今回の薬価収載については異論がありませんけど、資料「総-2-1」の8番目に記載されているオータイロカプセル40mgについて意見があります。
オータイロカプセル40mgですけど、最初2週間は1日1回4カプセル、それを14日間経口投与することになります。その後、1日2回に増量ということで1日8回カプセルになるのですけども、そうなりますと、最初の2週間は56カプセルを投与、その後は1回112カプセルの投与ということになります。オータイロカプセルの販売包装単位が1箱30カプセルとなります。そうなりますと、初回4カプセルの残薬、2回目12カプセルの残薬、3回目20カプセルの残薬、4回目28カプセルの残薬となります。抗がん剤の投与ですけど一般的には投与を続けるうちに残念ながら投与の効果が薄れてしまい、結果的に投与中止となって抗がん剤が在庫となる場合も多く、そのまま使用期限を迎えて廃棄すると28カプセルで約10万円の損失となります。
先日、業界誌で高額医薬品への対応のため資金繰りが悪化して薬局が倒産したとの報道がありました。報道があった薬局だけではなく、多くの薬局でこの問題に直面しています。実際私の薬局でも薬1錠約1万8000円の薬が39錠残ってしまったことがありました。
これまでもこの場で何回もお願いをしてきましたけども、高額医薬品については、投与形態に合わせた販売包装単位、例えばオータイロカプセルであれば28カプセル単位での販売となるよう、強く要望をお願いしています。
以前、コロナ治療薬で当初2人分が1箱箱に入っていたものが、メーカー側が1箱1人分ということで、変えていただいたこともありました。いま過度な薬価差、薬価差の偏在が問題となっていますが、中小の薬局ではほとんど管理コストや廃棄損耗などに必要な薬価差が出ない状況です。今後も様々なモダリティの新薬が開発されると思いますが、このようなことが続くと、薬局が担っている地域の医薬品提供体制を確保し続けることが困難になり、国民の医薬品へのアクセスの阻害になりますので、国におかれまして早急にご対応いただきたいと強く主張させていただきます。
また、関係者におかれましても、このような実態があることをご認識いただき、地域の医薬品提供体制を継続的に確保できるよう、各現場におかれましては、ご協力のほど、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。以上です。
小塩会長:はい、ありがとうございました。ただいま森委員からご要望をいただきましたが、事務局から何かありますか。
事務局:薬剤管理官でございます。具体的なご説明ありがとうございます。包装単位と実際に処方される量との差によって、特に薬局の方で医療在庫を抱えるという問題はこれまでいろいろとお話をされておりました。これは単に製薬企業が対応するだけではなく、多分広く関係者のご理解をいただいた上で解決策を練っていかなければいけないものかと思っております。
一つは医薬品のパッケージはグローバルで開発されているものもありますので、日本の実態がどこまでなのか、日本特有で本当に作っていただけるのかどうかっていうところも、ドラッグ・ラグ対応の観点からも考えていかなければいけないのかなと思います。
いずれにいたしましても、昨今非常に大きな問題になっておりますので、関係者の意見を聴取しながら解決策を検討していきたいと思っております。ありがとうございます。
小塩会長:はい、森委員お願いします。
森委員:はい、ありがとうございます。この問題は薬局だけではなく、医療機関にも関係することだというふうに考えております。また、このような高額な薬剤に関して一般的にガイドラインに従って、それからプロトコールに従って使えますので、そういう処方実態に合わせた製造というものをぜひお願いしたいと思います。以上です。
小塩会長:はい、ありがとうございました。他にご意見、ご質問等ありますでしょうか? 松本委員お願いいたします。
松本委員:ありがとうございます。ご説明のありました新薬の薬価収載には異論はございません。
その上で、リストの11番にありますケサンラについてコメントさせていただきたいと思います。資料「総-2-1」23ページの右側の下段にあります市場規模予測を拝見しますと、ケサンラの場合は10年度目に患者数が2.6万人、販売価格は796億円になると予測されております。一方でレケンビについて過去の資料を見てみましたところ、ピーク時に患者数が3.2万人、販売額が986億円という想定でございました。
今後認知症に関する治療の環境が充実していけば、投与患者数が増加する可能性はあると思いますが、最適使用推進ガイドラインに沿って安全を十分に確保しながら使用していくということを考えますと、当面は2つの薬剤を合わせた全体の市場規模は、レケンビの薬価収載時に想定されました3万人を超えるレベル、金額レベルで言いますと1000億円程度から極端に拡大するものではないというふうに受け止めております。
またケサンラについては投与期間の短縮が期待できるということを踏まえて、有用性加算Ⅱを適用することになっております。医療現場でケサンラを使用する場合には、ガイドラインに基づきまして、ぜひ適切なタイミングでの投与の完了についてもご判断をお願いしたいということでございます。私からは以上となります。
小塩会長:ありがとうございました。他にご質問ご意見等ありますでしょうか? 事務局からコメントお願いします.
事務局:老健局企画官でございます。先ほど長島委員からのご指摘でドナネマブとレカネマブの使い分けについてございました。ご指摘いただいたように、まだ使い分けの安全性・有効性というところが明らかになっていない状況ですので、今後、研究事業を進めてまいりまして、学会の方からガイドラインの方をお示しいただくということを予定しております。以上です。
小塩会長:ありがとうございました。他にご質問等ありますでしょうか? 他に特にご質問等ないようですので、本件につきましては中医協として承認するということでよろしいでしょうか?
(各側了承)
小塩会長:ありがとうございます。それでは説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。前田委員長どうもありがとうございました。
続きまして費用対効果評価の結果を踏まえた薬価の見直しを議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
(事務局説明 略)
小塩会長:はい、ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、ご質問等ありますでしょうか? 松本委員お願いします。
松本委員:費用対効果評価に基づく価格調整につきましては、ルールに沿ったものということで、いずれも異論はありませんけれども、資料「総-4-2」(ゾコーバの費用対効果評価結果に基づく価格調整について)にありますゾコーバについては、最終的には医師のご判断ということが大前提となりますけれども、標準治療と効果が同等で費用が増加するという評価結果を十分に踏まえた上で薬剤選択のご判断いただけるということに期待するものでございます。よろしくお願いいたします。私からは以上です。
小塩会長:ありがとうございました。他にご質問等ありますでしょうか? よろしいでしょうか? 他に質問等ないようですので本件につきましては中医協として承認するということでよろしいでしょうか?
(各側了承)
小塩会長:ありがとうございます。それでは説明のあった件につきましては中医協として承認したいと思います。