アクトスでPMDAがコメント 患者の判断で服用中止さけるべき
公開日時 2011/06/13 04:03
医薬品医療機器総合機構(PMDA)は6月10日、アクトスのフランスにおける使用制限についてコメントを発表した。9日にフランス医薬品庁(Afssaps)がピオグリタゾン塩酸塩を有効成分とする医薬品の使用患者の膀胱がん発生リスクに関する疫学研究の結果を受け、新規処方をしないよう通達したことを受けたもの。PMDAは日本国内で同剤を使用している患者に対し、自らの判断で服用を中止したり、減量しないよう求め、主治医に相談するよう求めている。
ピオグリタゾンの膀胱がんとの関連については、承認前のがん原性試験で雄ラットにのみ膀胱腫瘍がみられたことに端を発する。申請企業である武田薬品は、ラットの特異的所見との見解から、欧米の規制当局(FDA、EMA)と協議の上、膀胱がんとの関係を評価するための疫学研究「KPNC」を実施していた。
この中間解析結果は2010年に英国で開催された第26回国際薬剤疫学学会で発表され、11年にはDiabetes Careに掲載された。層別解析では、治療期間が長くなると膀胱がんのリスクがわずかながら増加する可能性が示唆されたが、主要解析である全体解析ではリスクを増大するとはいえないとの結果も示された。(HR= 1.2[95%CI 0.9-1.5])
今回フランス医薬品庁(Afssaps)が問題視した疫学研究「CNAMTS」は、フランス国内のデータベース内の約150万人の糖尿病患者(40~79歳)に関する2006~09年のデータを用い、膀胱がんなどがん発生率を比較した後ろ向きコホート研究。ピオグリタゾンを投与された約16万人に対し、非投与患者約133万人に比べて、膀胱がんの発症率が有意に高い結果が得られた。(HR= 1.22[95%CI 1.05-1.43])
◎武田薬品も医師、患者それぞれにコメント発す
アクトスを販売する武田薬品も同日、医師・患者の双方にコメントを発した。膀胱がんとの関連についてはPMDAに情報を報告し、評価を行っているところと説明。疫学研究「CNAMTS」の成績を詳細に解析するとともに、米国で実施している疫学研究を今後も進め、アクトスと膀胱がんの関連についても検証するとした。薬剤を服用中の患者に対しては、医師・薬剤師と情報の共有化につとめる方針を示しながら、「今後の治療方針に関しては、主治医の先生とご相談いただき、くれぐれもご自身の判断で薬の使用を中止しないようお願い申し上げます」としている。
【訂正】11日付でアップした同原稿ですが、見出しに誤りがありました。正しくは、「アクトスでPMDAがコメント 患者の判断で服用中止さけるべき」です。訂正します。なお、本原稿はすでに修正済みです。