PMDA 成人対象の治験相談でも「小児用医薬品の開発計画の有無を資料に記載」日薬連等に留意事項通知
公開日時 2025/03/24 04:53
医薬品医療機器総合機構(PMDA)は3月21日、「小児用医薬品の開発促進に向けた取り組み」について日薬連など関係団体に通知した。通知では、成人を対象とした医薬品開発に係る治験相談を行う場合の留意事項として、相談時点の国内外における「小児用医薬品の開発計画の有無等を相談資料に記載」するよう求めた。また、小児を含む開発を行う場合は、成人と併せて評価する当該小児の開発とは別に、開発の必要性が認められる小児の年齢集団の開発計画の有無などを含む小児用医薬品の開発計画の全体像を記載するよう要請した。
PMDAは、成人を対象とした医薬品開発の段階から小児用医薬品の開発を製薬企業に促す方策の検討を行っており、24年7月から「小児・希少疾病用医薬品等薬事相談センター」を通じた小児用医薬品開発計画の確認相談の受付に着手している。一方、厚労省の厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会も1月10日付の「薬機法等制度改正に関するとりまとめ」において、「より一層小児用医薬品の開発を促進し、ドラッグ・ロスの解消につなげる必要があるという観点から、成人用の新有効成分又は新効能等の医薬品の承認申請者に対して、小児用医薬品開発の計画策定を努力義務として課すべき」との方針を明示したところだ。
こうした状況からPMDAは、小児用医薬品の開発促進に向けた基本的考え方や留意事項について、日薬連、製薬協、PhRMA、EFPIAに3月21日付で通知を発出することになった。
◎小児用医薬品の開発計画の全体像を把握 必要に応じ、製薬企業に開発を促す
通知では、欧米の製薬企業は、成人を対象とした新有効成分または新効能等の医薬品の開発早期(米国は第2相試験終了後、欧州は第Ⅰ相試験終了後)に小児用医薬品の開発計画案を当局に提出し、成人を対象とした医薬品の承認申請時は、当局と合意した小児用医薬品の開発計画を承認申請資料に含めることが求められていると解説。日本では、現時点で小児用医薬品の開発が規制要件として求められていないほか、海外では小児を対象とした臨床試験が実施済み、もしくは実施中であることも少なくないとし、「日本での小児用医薬品の開発を海外に遅れることなく進めるには、PMDAが成人を対象とした医薬品開発のより早期から小児用医薬品の開発を含めた医薬品開発計画の全体像を把握し、必要に応じて、製薬企業に対し、日本での小児用医薬品開発を促すことが重要である」との考え方を明示した。
その上でPMDAは、「欧米で小児を対象とした臨床試験が計画される段階で、日本から国際共同治験に参加することを前提とした開発計画を策定することが望ましい」と強調。また、「小児用の剤形の開発が必要な場合には、小児の用法・用量追加のための承認申請に間に合うよう、開発を進めることが適切である」とも指摘した。
◎小児用医薬品の開発に関する試験デザイン等の妥当性は第2相試験終了後の治験相談で
一方で製薬企業が第2相臨床試験(Proof of Concept試験)以降の治験相談を申し込むに当たっての留意事項も規定した。相談資料中に、相談時点における国内外の小児用医薬品の開発計画の有無等を記載するとし、可能な限り「小児用医薬品開発計画確認相談」の実施要綱に定める情報を含めることが望ましいとした。さらに、成人と併せて小児を含む開発を行う場合は、成人と併せて評価する当該小児の開発とは別に、開発の必要性が認められる小児の年齢集団の開発計画の有無等を含む小児用医薬品の開発計画の全体像について記載する。なお、相談資料に、国内外の小児用医薬品の開発計画の有無等に関する情報が含まれていない場合、PMDAは必要に応じて、照会事項において国内外における小児用医薬品の開発計画等を確認することがあるとした。
このほか、小児用医薬品の開発に関する試験デザイン等の妥当性や小児を対象とした臨床データパッケージの充足性等についてPMDAに相談を希望する場合は、別途、医薬品第2相試験終了後相談等の治験相談を利用することとしている。