エーザイ 10年度に米で4新製品発売目指す 2010年問題克服に自信
公開日時 2009/12/21 04:01
エーザイの内藤晴夫社長は12月18日、本社で行ったR&D説明会で、10年度中にサードラインの転移性乳がん治療薬など4つの新製品の米国発売を目指すと表明した。主力品が米国特許満了を迎える「2010年問題」で同社は、アルツハイマー型認知症治療薬アリセプトが10年11月に満了を迎え、大幅減収が予想される。4新製品が「ダメージを回復する非常に大きな手立てになる」とし、「2010年問題」の克服に自信を見せた。
同社長は、アリセプトSR(徐放製剤、09年9月申請)は10年7月、サードラインの転移性乳がん治療薬を狙うエリブリン(開発コード:E7389、申請予定:10年3月日米欧申請予定)は同9月、重症敗血症治療薬を狙うエリトラン(E5564、10年度第1四半期)は同年12月、アシフェックスER(長時間作用型製剤、10年3月)は11年1月に、それぞれ発売できる「確度が高まっている」と述べた。加えて、日本での平均2桁成長と、インドと中国を中心とした新興国での成長により、11~12年度の収益を安定化、13年度から再成長路線に乗せる構想を説明した。
アリセプトSRについては、アルツハイマーの中等・高度患者の中にいる現行治療で症状改善が見込めない患者を取り込み、新しい市場の獲得を図ると表明した。
エリブリンは、フェーズ3で主要評価項目の全生存期間は13ヵ月、対照群と比べ75日延長したとの結果(有意差あり)を得ており、EMEA、FDAからは協議の結果、スケジュール通りの申請を行うよう指示されているという。
エリトランは、フェーズ2で死亡率を6.7%抑えた結果から「米国だけで毎日100人もの命を救える可能性のある」薬剤としてフェーズ3結果の解析を急ぎ、早期の申請に漕ぎ着けたい考え。
アシフェックスERは、逆流性食道炎や夜間の胸やけ症状に悩まされている現行のPPIでは満足な治療につながっていない状況の改善を目指す。
10年11月25日に米国特許満了を迎えるアリセプトは、同社売上高の4割近くを占める。08年度には同剤世界売上高の6割にあたる1896億円を米国で売り上げている。通常、特許満了を迎えるとジェネリックが参入、先発薬の収益のほとんどが失われる。2010年前後に最大市場の米国で主力品の特許満了が相次ぎ、製薬大手各社の収益への打撃が予想されていることから「2010年問題」と呼ばれ、収益へのダメージを回避しようと、新製品開発に必死になっている。