昭和大・有賀教授 薬価維持加算に理解 長期品は保険償還見直しを
公開日時 2009/12/07 04:02
昭和大学医学部の有賀徹教授はこのほど本誌取材に応じ、「良い新薬を日本で作り続けられるようにすることはとても大きな問題。良い新薬を作った製薬企業がそれに見合う見返りを得られる仕組みは当然で、これが良い社会だ」と述べ、特許期間中に新薬の薬価が落ちない仕組みの導入に理解を示した。一方で、長期収載品については、医療費との兼ね合いから保険償還の仕組みを見直すよう提案。一例として、後発品の薬価水準までを保険償還とし、それ以上の価格は患者全額負担とするような案を示した。「ルールを合理的に変えるべき。(国民・患者が)すでに選択できる社会だ」と強調した。
有賀教授は、厚生労働省政務三役の診療報酬改定に関するアドバイザー機関「検討チーム」のひとり。有賀教授によると、同チームの会合でも、日本で新薬が開発され続けることの重要性が議論の俎上にあがっているという。有賀教授は、「日本の医療が良い状態かどうかのひとつに、日本で新薬が作り続けられるということも大変重要な問題としてある」とし、「新薬を作り続ける人たちが(医療や業界の)中心軸に絡んでいてほしい」と話した。
薬価制度改革に関しては中医協で現在議論されている。12月2日の薬価専門部会では、特許期間中の新薬が一定の要件を満たせば実質的に薬価改定を先送りできる「新薬創出・適応外薬解消等促進加算(仮称)」が検討された。新加算では、薬剤費を抑えるため、全ての長期収載品の薬価を2%引き下げることもセットとなっている。新加算が導入されるかどうかは不透明な状況だが、導入の可能性が高まっている。