オバマ政権下のヘルスケア改革の一環として上院財務委員会のMax Baucus委員長(民主党)が発表した「ヘルスケア改革立法枠組」では、医療費増加が著しいメディケイドで新たに薬剤給付に対する製薬企業のリベート幅の拡大が検討されている。
同枠組みによるとシングルソースドラッグでは従来のリベート15.1%から23.1%へ、マリチプルソースドラッグでは11%から13%、血液凝固因子製剤と小児科専用薬剤で15.1%から17.1%へとそれぞれ引き上げるとしている。
多くの製薬企業の収益に直結するシングルソースドラッグでは大幅なリベート率引き上げとなるが、その一方で同枠組ではメディケイドの加入資格を連邦貧困層レベルの133%までの拡大も提案しているなど、一定の配慮を示した形になっており、今後米国研究製薬工業協会(PhRMA)の対応が注目されている。
◎製薬企業から年間23億ドルの拠出求める
そのほか「ヘルスケア改革立法枠組案」では、財源確保のために製薬業界に年間当たり23億ドル、10年間で総額230億ドルを拠出させるとした方針が注目されている。
これは各社の市場シェアに応じて拠出額を配分し、製薬企業以外でも10年間で医療機器業界400億ドル、健康保険業界600億ドル、臨床検査業界75億ドルの拠出を求めるとしたもの。
◎拠出は800億ドルに含まれる PhRMA副会長
既にBaucus委員長と米国研究製薬工業協会(PhRMA)は、メディケアの薬剤給付に関し今後10年間で800億ドルの改善で合意しているが、PhRMAのKen Johnson副会長は「今回の拠出は合意した800億ドルに含まれる」と説明。同時に一部で検討されていた各企業の売上高に応じた消費税課税方式に比べると「中小製薬企業では負担軽減になるだろう」との見解を示した。