米FDA NSCLC治療薬Zykadiaを承認
公開日時 2014/05/07 03:50
米食品医薬品局(FDA)は4月29日、スイス・ノバルティスのALK(未分化リンパ腫キナーゼ)遺伝子阻害剤Zykadia(一般名:セリチニブ)をALK遺伝子陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)治療薬として承認した。ALK遺伝子阻害剤としてはファイザーのZarkoli(日本製品名:ザーコリ、一般名:クリゾチニブ)に次ぐ2剤目。
Zykadiaの適応は、前治療でALK阻害剤のクリゾチニブの投与を受けたALK遺伝子陽性の転移性NSCLC。
同剤は、FDAによる画期的治療法(Breakthrough Therapy)、優先審査および希少疾病薬の指定を受けた。画期的治療法指定を受けた4つ目の医薬品となった。また、同剤は、FDAの審査完了目標日の8月24日を4か月前倒しで承認された。
Zykadiaの安全性・有効性は、ALK遺伝子陽性の転移NSCLC患者163例を対象とした臨床試験で検証された。全患者が同剤を投与され、約半数で腫瘍が縮小、その状態が平均約7か月維持された。主な副作用は、下痢、悪心、嘔吐、腹痛など消化器症状。
同剤は、ノバルティスの米法人(本社:ニュージャージー州イーストハノーバー)が販売する。
同剤の治験を担当したMassachusetts General Hospital Cancer CenterのAlice T Shaw博士は、「Zykadiaは、クリゾチニブによる初回治療後に再発したALK遺伝子陽性NSCLC患者にとって重要な治療選択肢となることを意味する」と同剤の登場を歓迎した。
ノバルティスOncology Development and Medical AffairsのAlessandro Riva博士は、「Zykadiaの承認は、最初の患者が臨床試験に登録されてから3年半以内だった」と早期承認への喜びをみせた。
一方で、FDA医薬品評価研究センター(CDER)のRichard Pazdur血液・腫瘍製品部長は、疾患の根底にある分子レベルでの作用機序の理解を深めることが医薬品開発につながったと評価した。その上で、「FDAが画期的治療法指定制度を反映し、企業と協力して医薬品の開発、審査・承認に取り組んでいるかをも示した」とコメントした。
米国立がん研究所(NCI)によると、今年一年間で新規に肺がんと診断されるのが22万4210人で、15万9260人が死亡する見込みという。肺がんのうちNSCLCは85%を占め、このうち原因遺伝子がALKである例が2~7%程度という。