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ヤンセンファーマ・二神氏 ライブリバントで肺がん領域に初参入「当社の成長を加速させる主力製品に」

公開日時 2024/12/02 04:49
ヤンセンファーマの二神聖子・固形腫瘍事業本部長は11月29日に開いた会見で、「ライブリバントで肺がん領域に参入した。当社の成長を加速させる重要な主力製品になる」と強調した。同剤の効能・効果は、EGFRエクソン20挿入変異(以下、EGFR Ex20ins)陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)。現在は限られた適応となっているが、EGFR遺伝子変異陽性NSCLCについての適応追加2件を申請中。二神氏は、「できるだけ早く(適応追加の)承認を取得し、より多くの患者さんに貢献できるよう準備したい」と述べた。

ライブリバント(一般名:アミバンタマブ(遺伝子組換え))は上皮成長因子受容体(EGFR)及び間葉上皮転換因子(MET)を標的とする二重特異性抗体。免疫担当細胞を介して抗腫瘍作用を発揮し、活性化及び抵抗性のEGFR変異、MET変異及び増幅を有する腫瘍を標的とする。カルボプラチン及びペメトレキセドと併用下での承認を取得。11月20日に発売した。

NSCLCにおけるEGFR Ex20insは約1~2%と希少で、マルチ遺伝子解析を用いて陽性患者を同定する必要がある。EGFR Ex20ins陽性NSCLCの治療選択肢はこれまで化学療法のみで、5年生存率は8%とアンメットメディカルニーズが高く、新たな治療選択肢が求められていた。11月に改訂された日本肺癌学会の診療ガイドライン2024年版では、EGFR Ex20ins陽性NSCLCの1次治療に対し、「カルボプラチン+ペメトレキセド+アミバンタマブ併用療法を行うよう強く推奨する」と記載された。

◎二神氏 「患者さんの安全を最優先に、適正使用の推進を徹底」

二神氏は、ライブリバントが診療ガイドラインに掲載されたこともあり、ライブリバントでEGFR Ex20ins陽性NSCLCの治療に変革をもたらすことに意欲を示す一方、「患者さんの安全を最優先に、適正使用の推進を徹底する」とも強調した。医薬品リスク管理計画書(RMP)に基づく医薬品安全性監視活動やリスク最小化活動に取り組み、収集・分析した安全性情報は医師に迅速にフィードバックするとし、「患者さんの安全、安心にも貢献していく」と述べた。

ライブリバントの承認の根拠となった国際共同第3相PAPILLON試験では、化学療法歴のないEGFR Ex20ins陽性NSCLC患者を対象に、アミバンタマブと化学療法との併用による有効性や安全性を、化学療法群と比較して評価した。主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)は、アミバンタマブと化学療法の併用(ACP)群は11.37か月(95%CI:9.79-13.70か月)、化学療法(CP)群は6.70か月(5.59-7.33か月)で主要評価項目を達成した(ハザード比=0.395、95%CI:0.296-0.528、P値=p<0.0001)。

安全性は、主な副作用としてInfusion reaction、間質性肺疾患、皮膚障害、静脈血栓塞栓症、爪囲炎、好中球減少症、末梢性浮腫、肝機能障害などが報告された。

◎ライブリバントは4つの「新」を持つ医薬品

二神氏はライブリバントについて、▽J&Jの135年超の歴史の中で「初」の肺がん治療薬、▽EGFR Ex20ins陽性NSCLCを効能・効果とする国内「初」の治療薬、▽肺がん領域「初」の完全ヒト型二重特異性抗体、▽世界「初」のEGFR及びMETを標的とする完全ヒト型二重特異性抗体――と、4つの「初」を持つ医薬品だと紹介。そして、J&Jグループが掲げる“がんの撲滅”に貢献する新薬であり、“30年までに世界第1位のオンコロジー企業を目指す”うえでも重要な新薬だと大きな期待を寄せた。

◎「Common EGFRの患者さんは圧倒的に多い」 MR体制は「しっかり検討していきたい」

同剤をめぐっては、▽4月に申請したEGFR遺伝子変異陽性NSCLCに対する経口第3世代EGFR-TKI・ラゼルチニブ(国内未承認)との併用療法(1次治療)の適応追加、▽5月に申請した第3世代EGFR-TKIによる前治療無効のEGFR陽性NSCLCに対する化学療法との併用療法(2次治療)の適応追加――を申請中で、審査が順調に進めば25年中の承認取得が見込まれる。

二神氏は、「Common EGFR(=EGFRの一般的な変異)の患者さんは、EGFR Ex20insの患者さんと比べると、日本においても圧倒的に多く、まだアンメットメディカルニーズはある。ライブリバントをしっかり届けていきたい」と話した。MR体制について問われると、「まずは最初の適応症であるEGFR Ex20insの患者さんに本剤が届けられるよう、多様な経験を持った営業が先生方に情報収集・提供活動、適正使用推進活動をしっかりやっていく。今後(の体制)についてはしっかり検討していきたい」と述べるにとどめた。

ヤンセンファーマではがん領域の組織として固形腫瘍事業本部とヘマトロジー事業本部があり、ライブリバントは固形腫瘍事業本部で担う。固形腫瘍事業本部では前立腺がん治療薬のザイティガやアーリーダなどを扱うが、「膀胱がんや大腸がんの開発も進んでおり、近い将来、固形腫瘍の事業領域を拡大していきたい」と意欲をみせた。
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