FDA クッシング病治療薬Signiforを承認
公開日時 2012/12/26 04:00
米食品医薬品局(FDA)は、12月14日、クッシング病治療薬Signifor(pasireotide diaspartate)注射剤を承認した。
同剤の適応は、切除不能か切除が不奏効のクッシング病。用法は1日2回皮下注射。クッシング病は、下垂体腫瘍のために副腎が過剰な刺激を受け、コルチゾールが過剰に産生されることが原因で、肥満、糖尿病、高血圧、痣、感染症リスクの増加などの症状を発現する。
Signiforの安全性および有効性は、クッシング病162例を対象に検証された。患者は同剤の2種の投与量に応じて無作為に割り付けられ、6か月観察した。安全に反応した患者については治療を続行した。Signiforは、尿中のコルチゾール値を治療開始1か月で減少させ、投与患者の約20%でコルチゾール値を正常値に減少させた。
一方、Signifor は治療開始2週間で血糖値を上げる可能性があるため、一部の患者では糖尿病を増悪させる恐れがあるので、これに十分注意を払う必要があり、また、インスリンなど闘病病治療を適切に行う必要がある。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のMary Parks代謝・内分泌製品部長は、「クッシング病には、手術が第1選択だが、Signiforは、手術が不奏功の場合やオプションでない場合の新たな選択肢になりえる」とコメントした。
FDAは、同剤については、3種の市販後スタディを求めた。①高血糖管理を評価する臨床試験、②Signiforの治療を受ける患者の長期前向きコホート研究、③重篤な高血糖、急性肝障害、副腎機能障害についての報告の安全性の監視。
同剤の主な副作用は、高血糖、下痢、悪心、腹痛、胆石など。