FDA MTX腎毒性低下薬Voraxazeを承認
公開日時 2012/01/24 04:00
米食品医薬品局(FDA)は1月17日、メトトレキサート(MTX)服用患者で腎障害のため血中のMTXが血中濃度危険限界値(1μmol/L)を超え、中毒域に達した患者での同剤の排泄を促進、MTX血中濃度を低下させる薬剤Voraxaze(glucarpidase)を承認した。同剤の承認は今回の米国が世界初めて。
MTXは腎臓で排泄されるため、高用量のMTXを服用している患者では血中のMTX濃度が高くなり腎不全を発症する可能性がある。
Voraxazeは、MTXを分解し、急速に腎以外からの排泄を促進する酵素製剤。同剤は静脈注射剤。同剤の有効性は22例を対象に実施された。全例で同剤を服用し、15分以内でMTX血中濃度危険限界値(1μmol/L)以下に到達、8日間それを維持した場合に治療が成功したとした。22例のうち10例で達成したが、全例でMTX血中濃度を95%低下させた。同剤による副作用で多かったのは、低血圧、頭痛、悪心、嘔吐、顔面紅潮、知覚異常など。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のRichard Pazdur血液学・腫瘍学製品部長は、高用量MTX治療中の患者における中毒域に達する危険性を指摘したうえで、「その毒性の回避をめざし、がん患者へ新たな選択肢が加わった」と同剤の承認を歓迎した。
Voraxazeは希少疾病薬の指定を受けている。同剤は、英BTG plcの米法人BTG International (ペンシルバニア州West Conshohocken)が販売する。
なお、同剤は国内では、日本小児血液学会および日本小児がん学会が、厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の第1回開発要望(2010年)で、「MTXの排泄遅延」の適応での早期承認を要望している。