PwCコンサルティング合同会社はこのほど、「Medical Affairs Survey 2022調査結果」を公表した。日本国内で活動する内資系・外資系製薬企業16社のＭＡ部門に調査したもの。国内ＭＡ組織の人員規模（12社回答）をみると200人以上との回答が1社、100～200人との回答が4社あった。MSLの人員規模（14社回答）は、80人以上との回答が1社、50～79人との回答が3社あった。ＭＡ部門に所属する医師数（14社回答）は、20人以上が1社、10～19人が2社、3～9人は4社。ＭＡ部門のコア業務としては、インサイト、データ、エビデンスの創出は例外なく実施。これ以外に、情報提供や医科学教育を合わせたものがＭＡ業務の中核を占めていた。

調査は、22年１～４月に製薬企業各社のＭＡ部門の統括者、部長クラス以上の責任者にアンケートおよびインタビュー形式で行った。その結果、内資系企業6社、外資系企業10社から回答を得た。

◎メディカル戦略の策定、医学研究によるデータやエビデンスの構築など「コア業務」

ＭＡ組織が担当する業務範囲について回答を求めた。項目別では、メディカル戦略の策定、医学研究によるデータやエビデンスの構築、パブリケーションの実施、アドバイザリーボード会議の開催、科学的交流を通じたKOLインサイトの修正については、すべての回答企業がコア業務と位置付けられた。一方で、社内のR＆D部門やコマーシャル部門への支援業務については、それぞれの回答が94％を占めたものの、患者治療アクセスの支援や患者関連活動（PSPなど）の実施、政治や行政・規制当局への働きかけなどの項目は、それぞれ63％の回答。医療経済（HEOR、HTA）に関わる活動は69％となり、患者や社会からの新たな要請に関わる業務への関与については、各社ごとに対応が分かれていることも分かった。

ＭＡ組織の課題認識については、人員や予算の確保が十分でないなど、「ＭＡとして戦略的に重要な業務に対して十分な事件をかけることができない」との回答が10社あった。また、「営業部門（コマーシャル）からの影響やプレッシャーが強い」と「営業部門との協働を最適にするための明確な社内規定や役割分担がない」との回答も、それぞれ4社からあった。

◎人員の課題　データ、ＩＴ、医療経済などにおける知見や技術不足

一方で人員に関する課題では、「新しいテーマ（データ、ＩＴ、医療経済など）における知見や技術の不足」との回答が10社で最も多い。また「キャリアパスや人材育成プログラムの整備が不十分」が9社、「ビジネスマインド（戦略的思考や論理的アプローチ等を含む）の不足」が8社と続く。テクノロジーに関する課題では、「デジタル化（ＤＸ化）達成のための戦略や方針、計画等が明確でない」が8社、「社外由来のRWDや各種データを活用するための背仕組みが未整備」が7社、「新規のデジタル技術全般について、組織人員に教育する仕組みがない」との回答も4社あった。

◎ＭＡが必要とする改革　他部門との有機的な連携に基づくシナジーの形成」がトップ

MAが必要とする改革については、「他部門との有機的な連携に基づくシナジーの形成」が9社、「RWD／RWEの収集や生成・利活用のための仕組みの構築」が8社、「社内業務の効率化や顧客サービスのためのデジタル化（DX）の促進」も6社と続いた。

◎ＭＡ組織が今後求める能力　「アジャイル・プロジェクト管理能力」

MAが今後注力したい活動テーマとしては、エビデンスの創出やKOLインサイトの生成といったＭＡの基本的業務には今後とも大多数のＭＡ組織が高い優先順位で取り組み続けるとしている。一方で、自社製品価値の向上や開発戦略といった、営業や研究開発など他部門との係りが示唆される活動によっては、回答者（回答企業）によって優先順位付けが大きく異なる結果となった。ＭＡ組織が今後求める能力としては、状況への適応や自らの変化を機敏に行いながら新規の取り組みを最適に可能とする「アジャイル・プロジェクト管理能力（マネジメント）が最も高かった。次いで「インサイトやエビデンス創出のためのデータ分析能力」と続いた。