リアルワールドデータ 三菱商事と資本業務提携 ライフコースデータの活用で新ソリューション開発
公開日時 2020/04/08 04:51
診療情報データベースの構築や検査値データに基づく診療成果分析を手掛けるリアルワールドデータ(本社・京都市中京区、尾板靖子社長)は4月7日、三菱商事と資本業務提携契約を締結したと発表した。子供から大人までの医療・健康データを「ライフコースデータ」として紡ぎ、大規模なデータの疫学解析を通じ、新たなソリューションを開発する。これにより質の高い医療サービスの提供や高騰する医療費の抑制など、高齢化の進展で直面する課題の解決にも注力する。
リアルワールドデータは2015年7月に設立された。当初は、健康・医療・教育情報評価推進機構(HCEI)の「電子診療情報を基にしたデータベース構築の取組」事業の受託業務開始。16年4月には、京都大学とソーシャル・ビッグデータ利活用・基盤技術の研究開発などの連携研究を行った。近年は、連携医療機関の電子カルテ由来診療情報データベース(RWD-DB)を構築し、実際の検査値データに基づく診療成果の分析もあわせて行うことで、これまで見えなかった様々な課題を可視化してきた。これにより医療の質改善や、医薬品の有効性・安全性等の評価などにこうしたデータが活用されている。
◎診療・健診データから「子供がどのような病気に罹るか」を予測
このほか、人生における医療・健康データを「ライフコースデータ」として紡ぎ、こうしたデータを疫学解析し、診療の成果などをエビデンスと共に検証・評価するサービス事業を提供している。ライフコースデータとは、HCEIが描く医学研究の未来像といえるもの。乳幼児健診情報、学校検診情報、特定健診情報、人間ドックデータ、電子カルテ(診療情報)、要介護認定調査情報、特別養護老人ホーム入所調査情報をつなぐことで、乳幼児から学童までの変化、子供が将来どのような病気に罹るか、どのような医療を受けるとどのような終末期になるかなど、こうした設問に応える時系列データを整備するものだ。
今回の資本業務提携により、三菱商事グループにおける医療・ヘルスケア事業で培った知見を活かしながら、子供から大人までの幅広い層に対する新たなソリューションの開発に取り組む方針だ。