DPP-4阻害薬の副作用”類天疱瘡” 発現疑われる場合は速やかに皮膚科医に相談を PMDAが注意喚起
公開日時 2023/07/28 04:50
医薬品医療機器総合機構(PMDA)は7月27日、DPP-4阻害薬の単剤・配合剤の副作用のひとつである「類天疱瘡」について、適切な処置を求める注意喚起を行った。DPP-4阻害薬の投与後に類天疱瘡の初期症状が見られたにもかかわらず投与が継続され、入院に至る事例も報告されているため。DPP-4阻害薬の使用中に、そう痒を伴う浮腫性紅斑、水疱、びらんなどが表れ、類天疱瘡の発現が疑われる場合には、速やかに皮膚科医と相談し、DPP-4阻害薬の投与を中止するなどの適切な処置を行うよう求めた。
PMDAは今回、代表例として70代男性の症例を紹介。シタグリプチン投与開始後、3、4カ月目に水疱出現、自然軽快を繰り返し、投与7カ月目に水疱が多発し全身に広がり、投与8カ月目にクリニック受診。内服薬及び外用薬で治療したが改善せず、皮膚科を受診。水疱性類天疱瘡の診断となり、入院した。治療により改善し、プレドニゾロン減量の上で、投与9カ月目に退院となったが、再度水疱が出現し、水疱形成増悪が確認され、再入院した。プレドニゾロンを増量したが改善せず、血漿交換療法を施行。薬剤性の水疱性類天疱瘡が疑われ、シタグリプチンの投与を中止。プレドニゾロンを減量し、シタグリプチンの中止11日後、水疱性類天疱瘡は回復し、退院した。
なお、年度別のDPP-4阻害薬の類天疱瘡の副作用報告数は、15年は企業報告25件・医療機関報告1件、16年は同341件・8件、17年は同264件・6件、18年は同351件・14件、19年は同266件・12件、20年は同164件・19件、21年は同138件・17件、22年は同130件・19件――。副作用救済給付決定件数は15年0件、16年1件、17件3件、18件3件、19年6件、20年5件、21年12件、22年6件――となっている。