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厚労省 HAE急性発作発症抑制薬・アナエブリを承認、従来より1か月早く 6製品の適応追加等も承認

公開日時 2025/02/21 04:50
厚生労働省は2月20日、CSLベーリングの遺伝性血管性浮腫(HAE)の急性発作の発症抑制薬・アナエブリ皮下注(一般名:ガラダシマブ)を承認した。アナエブリは新有効成分含有医薬品で、従来であれば3月承認となるが、2025年から新有効成分の承認頻度を増やすことになり、アナエブリは従来より1か月早く承認された。

新有効成分の承認頻度は、24年までは原則年4回(3、6、9、12月)だった。25年からは年7回程度に増え、これに合わせて薬価収載も年7回程度となる。アナエブリは手続きが順調にいけば4月収載となる見通し。

◎テセントリクに胞巣状軟部肉腫の適応追加 希少がん産学共同プロジェクトで開発

この日は6製品の適応追加なども承認された。この中に中外製薬の抗PD-L1抗体・テセントリク点滴静注に超希少がんの「胞巣状軟部肉腫」の適応追加があり、テセントリクは同適応を持つ国内初の免疫チェックポイント阻害薬になった。国立がん研究センターと製薬企業による希少がんの産学共同プロジェクト「MASTER KEYプロジェクト」の枠組みを用いて開発された。

承認された製品は次の通り(カッコ内は一般名、製造販売元)。新有効成分含有医薬品/適応追加等の順、及び薬効分類順に記載。

【新有効成分含有医薬品】
アナエブリ皮下注200mgペン(ガラダシマブ(遺伝子組換え)、CSLベーリング):「遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類449。

ファースト・イン・クラスの抗活性化第XII因子モノクローナル抗体。活性化第XII因子(FXIIa)を標的とし、HAEカスケードの起点を阻害する。用法・用量は「通常、成人及び12歳以上の小児には、初回に400mgを皮下投与し、以降は200mgを月1回皮下投与する」。

HAEは、腹部、上気道、顔面、四肢等、身体中のさまざまな箇所に疼痛を伴う予測不能な腫れを繰り返し起こす遺伝性の希少疾患であり、生命を脅かす可能性がある。国内では、定期的投与による長期的な発作の発症抑制(長期予防)薬として、オラデオカプセル、タクザイロ皮下注、ベリナート皮下注用が承認されており、それに続く。

【適応追加等】
リクシアナ錠15mg、同錠30mg、同錠60mg、同OD錠15mg、同OD錠30mg、同OD錠60mg(エドキサバントシル酸塩水和物、第一三共):「慢性血栓塞栓性肺高血圧症患者における血栓・塞栓形成の抑制」を効能・効果とする新効能医薬品。薬効分類333。

経口FXa阻害薬。慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)は十分な抗凝固療法を行っても解けない器質化血栓により肺動脈が閉塞または狭窄することで、肺高血圧症になる疾患。生涯にわたる抗凝固療法が必要になる。「CTEPH患者における血栓・塞栓形成の抑制」の適応を持つ経口抗凝固薬はリクシアナが初となる。

新効能の用法・用量は、既存効能の「静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制」と同様で、「通常、成人には、以下の用量を1日1回経口投与する。体重60kg以下:30mg、体重60kg超:60mg。なお、腎機能、併用薬に応じて1日1回30mgに減量する」。

ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.4mL、同皮下注40mgペン0.4mL(アダリムマブ(遺伝子組換え)、アッヴィ):「X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。事前評価済公知申請。薬効分類399。

抗TNFα抗体。24年8月の第二部会で公知申請に係る事前評価が終了し、すでに保険適用されている。新効能の用法・用量は「通常、成人には40mgを2週に1回、皮下注射する」。

テセントリク点滴静注1200mg、同点滴静注840mg(アテゾリズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「切除不能な胞巣状軟部肉腫」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は4年。薬効分類429。

抗PD-L1抗体。胞巣状軟部肉腫に対する国内初の免疫チェックポイント阻害剤。これまでテセントリクは各効能で成人用量のみ設定されていたが、胞巣状軟部肉腫については、小児用量も追加という形になる。

新効能に対する用法・用量は「通常、成人には1回1200mgを60分かけて3週間間隔で点滴静注する。通常、2歳以上の小児には1回15mg/kg(体重)(最大1200mg)を60分かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる」。

胞巣状軟部肉腫は、悪性軟部肉腫の1%未満と超希少がんのひとつで、日本人における年間発症数は15~40人と推定されている。大腿を中心に四肢に発症することが多く、思春期および若年成人(15~35歳、AYA世代)での発症が多くみられるという。

なお、テセントリクの今回の適応追加は、国立がん研究センター(国がん)と製薬企業との希少がんの産学共同プロジェクト「MASTER KEYプロジェクト」の枠組みのもと、国がん中央病院をはじめとする国内4施設で実施した第II相医師主導治験の成績などに基づき承認された。国がんは、「MASTER KEYプロジェクトの取り組みを通し、希少がんの患者さんにより早くより多くの新薬を届け、日本の医薬品を取り巻くドラッグラグ問題の解決に向けて引き続き取り組んでいく」とコメントしている。

エプキンリ皮下注4mg、同皮下注48mg(エプコリタマブ(遺伝子組換え)、ジェンマブ):「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫(Grade1~3A)」を効能・効果とする新用量医薬品。再審査期間は、2031年9月24日まで。薬効分類429。

CD3及びCD20に対する二重特異性抗体製剤。現在「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫」の適応を持っているが、効能・効果に関連する注意で「十分な経験を有する病理医により、Grade3Bと診断された患者に投与すること」とグレード3Bに限定されている。今回、グレード1~3Aに投与できるようになった。

濾胞性リンパ腫(FL)のグレード3Bの用法・用量は2ステップの漸増(1回0.16mg→0.8mg→48mg)となっているが、グレード1~3Aでは3ステップの漸増(1回0.16mg→0.8mg→3mg→48mg)となる。

国内では、再発・難治性FL(グレード1~3A)に対する二重特異性抗体としてルンスミオ点滴静注、CAR-T細胞療法としてキムリア点滴静注、ブレヤンジ静注が承認されている。

サークリサ点滴静注100mg、同点滴静注500mg(イサツキシマブ(遺伝子組換え)、サノフィ):「多発性骨髄腫」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は、2028年6月28日まで。薬効分類429。

抗CD38抗体。これまでの適応は「再発又は難治性の多発性骨髄腫」だったが、今回、未治療の多発性骨髄腫(MM)に1次治療(ファーストライン)で使用できるようになった。ボルテゾミブ・レナリドミド・デキサメタゾンにサークリサを追加する併用療法(IsaVRd)となる。

同じ抗CD38抗体を含むダラキューロ配合皮下注は、既に未治療MMのファーストラインで使用されている。

レブラミドカプセル2.5mg、同カプセル5mg(レナリドミド水和物、ブリストル・マイヤーズスクイブ):「多発性骨髄腫」を効能・効果とする新用量医薬品。薬効分類429。

免疫調節薬(IMiDs)。多発性骨髄腫(MM)に対するファーストラインでサークリサと併用することになるため、その用量が追加された。
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