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国がん サバイバー5年生存率を初集計 多くの進行期のがん、1年生存するほど5年生存率が改善

公開日時 2025/02/13 04:51
国立がん研究センターは2月13日、がんと診断された日からの経過日数を起点に、そこからの5年間を生きる確率を示す「サバイバー5年生存率」を初めて集計したと発表した。ステージIII・IVの進行期のがんでは、1年生存するほど5年生存率が改善する傾向がみられた。例えば、胃がんのIII期では、診断日から診断5年後までの5年生存率は36.5%だが、診断後1年生存した患者を対象とした診断1年後から診断6年後までの5年生存率は41.9%、さらに診断2年後から診断7年後までの5年生存率は51.4%となり、長期生存するほど「次の5年間の生存率」が上がっていた。

国がんは、2012年に院内がん登録データを提出した361施設から、10年予後情報付腫瘍データ54万3081例を収集し、集計した。今回この収集データを用いて胃がん、大腸がん、肝細胞がん、非小細胞肺がんなど19のがん種の病期別サバイバー5年生存率を算出した。

◎NSCLCのIII期 診断後5年生存した患者、そこから5年の生存率56.7%に

治療により根治が期待できるステージI・IIのがんでは、多くのがん種でサバイバー5年生存率はほぼ横ばいとなったが、進行期のがんでは、多くのがん種で長期生存するほどそこから5年間の生存率は改善傾向を示した。

年間死亡数の多い肺がんや大腸がんを見てみる。非小細胞肺がん(NSCLC)のIII期では、診断日から診断5年後までの5年生存率は24.1%だが、診断後1年生存した患者では診断1年後から診断6年後までの5年生存率は31.5%、診断後2年生存した患者の診断7年後までの5年生存率は40.6%、診断後5年生存した患者の診断10年後までの5年生存率は56.7%となった。

NSCLCのIV期でも長期生存するほど5年生存率は上がり、診断日から診断5年後までの5年生存率は6.4%だったが、診断後1年生存した患者の診断6年後までの5年生存率は12.7%、診断後2年生存した患者の診断7年後までの5年生存率は19.4%、診断後5年生存した患者の診断10年後までの5年生存率は39.8%となった。

大腸がんのIV期では、診断日から診断5年後までの5年生存率は17.0%だが、診断後1年生存した患者の診断6年後までの5年生存率は23.0%、診断後2年生存した患者の診断7年後までの5年生存率は30.9%、診断後5年生存した患者の診断10年後までの5年生存率は60.2%だった。

◎膵がんIV期 5年生存率1.3% 診断後5年生存した患者の5年生存率42.5%

難治がんとして知られる膵臓がんも見てみると、IV期では診断日から診断5年後までの5年生存率は1.3%と極めて低いが、診断後1年生存した患者の診断6年後までの5年生存率は4.8%、診断後2年生存した患者の診断7年後までの5年生存率は16.3%、診断後5年生存した患者の診断10年後までの5年生存率は42.5%となった。

一方、乳がんでは、どの病期でもサバイバー5年生存率はほぼ横ばいだった。国がんは「長期の治療と経過観察が必要なサブタイプがあることが反映していると推測された」と分析している。

◎国がん「治療を受ける方々にとって少しでも明るいメッセージになること期待」

今回、多くの進行期のがんで長期生存するほど次の5年間の生存率が改善する傾向が示されたことに国がんは、「同じがん種・病期であっても年齢やその他の因子によって予後が異なるということに注意が必要」とした上で、「治療を受ける方々にとって少しでも明るいメッセージになることを期待している」とコメントした。

◎23年の院内がん登録数114万9859例 増加傾向継続 コロナ禍以前の104.4%に

国がんはこの日、23年の院内がん登録の集計結果も公表した。国が指定するがん診療連携拠点病院など全国882施設における23年の全登録数は114万9859例だった。18年から23年の6年間を通して登録データの提出があった738施設615万1877例の登録データを用いて登録数の年次推移を見てみると、コロナ禍以前の18-19年の2カ年平均を100%とすると、コロナ禍まっただ中の20年は96.0%、21年は101.0%、22年は102.4%、23年は104.4%――となり、登録数の増加傾向は23年も継続した。

◎検診発見例 胃は減少、乳房は増加傾向継続 子宮頸部は横ばい

一方、がん検診推奨部位(胃、大腸、肺、乳房、子宮頸部)について検診発見例の登録数をみると、胃は23年も減少傾向が継続し、18-19年の2カ年平均と比較すると23年は82.0%(22年86.4%)にとどまった。大腸や肺は前年調査から微増したものの2カ年平均より減少した状態が続いた。具体的には大腸は2カ年平均比で98.3%(22年:95.8%)、肺は同98.1%(97.0%)だった。

乳房(女性)は21年以降増加傾向が継続し、23年は2カ年平均比116.0%(110.6%)だった。子宮頸部は21年に増加したが、22年は再び減少に転じ、23年は22年とほぼ横ばいで、23年は2カ年平均比91.6%(91.2%)となった。コロナ禍を経て検診等の受診控え、受診しないことの習慣化などが考えられるとしている。

がん登録には、院内がん登録と全国がん登録の2種類ある。院内がん登録はがん診療連携拠点病院等(拠点病院)を中心に全国約880病院で行われているもの。その登録データを国がんで収集・集計し、得られた診療実績を用いて医療の実態把握を行い、質の向上を図ることや、患者の医療機関選択に資する情報を提供している。

全国がん登録は、全国の病院(一部診療所を含む)において義務として行われているもの。各施設でがんと診断されたすべての患者の登録データを国が収集・集計し、得られた罹患数・率は、国および都道府県のがん対策に活用されている。
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