バイオジェン・傳社長 クアルソディ承認取得は「ALS治療薬の最初の一歩」
公開日時 2025/01/08 04:48
バイオジェン・ジャパンの傳幸諭代表取締役社長は12月27日の記者会見で、筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬・クアルソディ髄注(一般名:トフェルセン)が承認を取得したことについて、「ALS治療薬としての最初の一歩。クアルソディをきっかけに新薬開発に弾みをつけていきたい」と述べた。傳社長はALS領域で早期段階の開発にも着手していることを明かし、「製薬企業として希少疾患の患者さんに治療法を届けるのはバイオジェンのひとつの使命だ」と述べた。
クアルソディは家族性ALSのうち、SOD1遺伝子変異を有するSOD1-ALSが対象で、効能・効果は「SOD1遺伝子変異を有する筋萎縮性側索硬化症における機能障害の進行抑制」。日本では家族性ALSのうち、約3割がSOD1遺伝子変異を有するとされ、原因遺伝子の中では最も多い。疫学上では全体の2~3%に上るという。
講演した東北大学大学院医学系研究科神経内科学分野の青木正志教授は「クアルソディは原因となる根本的な部分を抑え込む。日本に多い、進行が非常にゆっくりとしたタイプの人たちはSOD1を抑えることでかなり病気の進行を抑えられるのではないか」と強調した。
ALSは上位および下位運動ニューロンのみが選択的におかされる慢性進行性の変性疾患。人口10万人あたり1~1.5人が発症するとされ、日本では約1万人、世界では約35万人に上る。アルツハイマー病やパーキンソン病などほかの神経変性疾患と比べた場合、進行が速いことが特長で、ALS発症から3~5年で呼吸不全に至るとされる。
クアルソディはアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)で、SOD1タンパク質の生成を抑制するために、SOD1mRNAに結合するように設計されている。米国では23年4月、欧州では24年5月、中国では24年9月にそれぞれ承認されている。