鈴木財務相 毎年改定に「制度面で大変つらい立場にあると承知」 卸連懇親会で“衆議院議員”として挨拶
公開日時 2024/05/31 04:53
鈴木俊一財務相は5月30日、日本医薬品卸売業連合会(卸連)の通常総会後の懇親会で来賓あいさつに立った。薬価の毎年改定に触れ、「そうした制度面で皆さま方が大変つらい立場にあるということを承知している」との認識を示した。ただし、「これは財務大臣という立場ではなく、皆さま方の応援団という立場で話をした。誤解がないようにお願いしたい」と笑いを誘いながら、“衆議院議員・鈴木俊一”としての発言だと強調した。卸連はこの日の総会で、
中間年改定の「抜本的な見直しに向けて取り組む」ことなどを決議しており、鈴木財務相の発言に注目が集まった。
卸連の懇親会で現職の財務大臣が来賓あいさつしたのは極めて珍しい。出席者からは「初めてではないか」との声も聞かれた。
◎「皆さま方の仕事はまさにエッセンシャルワーカー。国民生活になくてはならない存在」
鈴木財務相は、故・内匠屋理氏や故・熊倉貞武氏と親交があったと振り返りながら、「その後に、皆さま方が団結しながら、国民のためになくてはならない仕事に尽力されていることに本当に感謝している」と述べた。鈴木財務相の地元である岩手県も被災した東日本大震災や、新型コロナのパンデミック、今年1月の能登半島地震といった「極めて緊急事態・非常事態」においても、医薬品卸が困難な地域を含めて迅速に医薬品を供給したとの認識を示しつつ、「皆さま方の仕事はまさにエッセンシャルワーカーであるとの思い、つまりは国民生活になくてはならない存在だと思っている」と話した。
鈴木財務相は医薬品の流通改善にも触れ、「昔は、総価取引や仮払い・仮納入といった商慣行に基づく困難さもあったと思うが、現在はだいぶ改善してきたと聞いている」との認識を示した。
◎武見厚労相 流通改善ガイドラインは「流通関係者全員が遵守すべき」
武見敬三厚労相も挨拶に登壇した。3月に改訂された流通改善ガイドラインについて、「メーカー、卸売業、医療機関、薬局といった流通関係者全員が遵守すべきガイドライン」だと述べた。
その上で同ガイドラインでは、「医薬品の価値に基づく単品単価交渉を進めるため、メーカーは卸売業に対し、適切な一次仕切価を提示する旨を規定している」と話すとともに、「卸売業者と医療機関や薬局の間では、医療上必要性の高い医薬品について単品単価交渉を行うことによって総価取引の改善を図る旨を規定した」と指摘。「こうした取り組みを通じて、医薬品特有の取引慣行や過剰な薬価差等の是正を図り、適切な流通取引が行われる環境の整備に向けて取り組みを進めていく」と述べ、医薬品の安定供給と更なる流通改善に向けて関係者全員で取り組む必要性を強調した。
また、後発品の品質問題に端を発した長期にわたる出荷調整や需給調整に係る業務に触れ、「卸の皆さまにおいては医療機関、薬局に必要な医薬品を継続して供給するための調整等に多大な負担をいただいている」との認識も示した。そして、「厚労省としては、品質の確保された医薬品を安定的に患者の下に届けられるよう、足元の供給不足への対応を着実に行いつつ、中長期的な産業構造の改革にもしっかりと取り組んでいくことが重要だと考えている」と述べた。