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中医協 アルツハイマー病治療薬・ドナネマブの薬価収載に向けて議論へ 「市場拡大再算定含めて議論」

公開日時 2024/09/26 05:58
中医協総会は9月25日、早期アルツハイマー病治療薬・ドナネマブ(製品名:ケサンラ、日本イーライリリー)の薬価収載に向けて、レカネマブ(製品名:レケンビ)と同様に議論を進めることを了承した。同剤の薬価収載時の算定方法、市場拡大再算定の適用、費用対効果評価について議論を進める。支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、複数の医薬品が上市されることで市場規模が膨らむと見通し、「(2剤の)使い分けの整理に加えて、市場拡大再算定のあり方についても議論する必要がある」と指摘。厚労省保険局医療課の清原宏眞薬剤管理官は、抗PD-1抗体の市場を引き合いに、現行では市場拡大再算定により市場規模がコントロールされている状況にあるとの認識を示し、「市場拡大再算定のような現行ルールで対応できるかも含め、次期制度改革等で検討したい」と述べた。

同剤をめぐっては、年間1000億円超となる可能性のある高額医薬品としてレケンビの薬価収載が議論された際に、「本剤と同様の薬剤を薬価収載する場合には、必要に応じて中医協総会で本剤を含む取扱いを改めて検討する」とされたことを踏まえて議論の俎上にのぼった。

ケサンラとレケンビは承認された効能効果が「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制」で同様であるほか、剤型も同一。薬理作用についても、「アミロイドβに結合して、脳内アミロイドβを減少させる点が類似している」と説明した。用法が同剤が4週間に1回、レケンビは2週間に1回という違いはあるものの、「大きな点は類似している」と説明された。ケサンラについてもレケンビ同様、最適使用推進ガイドラインを策定する予定で、投与開始により患者要件や医師・施設要件が定められることで、「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症 」 の推定有病者数は多いものの 、 現時点のガイドラインを踏まえると 、 本剤の投与対象となる患者数は限定的になる見込み」とされている。

◎支払側・松本委員「使い分けの整理に加えて、市場拡大再算定のあり方についても議論を」

支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、ケサンラとレケンビの作用機序について「作用のポイントが若干異なる部分もあり、場合によっては2剤を併用、あるいはレケンビが終わった後にケサンラを使用するという可能性も否定できないのではないか」と指摘。「2つの薬が完全に市場を分け合う形になるのか、市場が拡大していくのかといったことも慎重に見ていく必要がある」と述べた。同様の医薬品が複数開発されることも踏まえ、「複数の薬剤で市場を分け合うことになったとしても、全体としては徐々に市場規模を拡大していけばやはりトータルで保険財政に大きな影響を与えることが想定される。使い分けの整理に加えて、市場拡大再算定のあり方についても議論する必要がある」と述べた。

また、「将来的な課題になるかもしれないが、(レケンビとケサンラの)どちらを優先的に使うのかも含め、レケンビの最適使用推進ガイドラインを見直し、2剤の使い分けを整理することも専門家の視点で十分な検討をお願いし、ご説明をいただきたい」とも述べた。

支払側の佐保昌一委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)は、「レケンビを使用した後に、プラークの減少を目的にケサンラを使用することがあるかは、今後の状況を見ないとわからないかもしれないが、今後、認知症が増加すると予想される中で、新しい治療薬が次々と開発され、こうした中で、使用範囲や方法が広がることも考えられる。これからも注意深く状況を見ていきたい」と述べた。

◎厚労省・清原薬剤管理官 「市場拡大再算定で対応できるかも含め、次期制度改革等で検討」

これに対し、厚労省保険局医療課の清原宏眞薬剤管理官は2剤の使い分けについて「重要なことだと思っている」と応じ、「まだ実臨床において実績がないということもあるので、今後の課題かと思っているが、可能な限り今回の段階でも検討できれば検討を進めていきたい」と述べた。

今後の市場規模が増加する懸念に対しては、「市場拡大再算定のような現行ルールで対応できるかも含め、次期制度改革等で検討したい」と表明。「市場全体、領域全体の市場規模についても今後どういう評価が必要なのか見ていかなければいけない。前例で(抗PD-1抗体の)オプジーボ、キイトルーダなど抗がん剤の領域があるが、今のところ個別のルールがある中で、市場拡大再算定である程度コントロールされている。新しい領域である認知症領域が今のルールで対応可能なのか、対応可能でなければどういう対応が必要なのか、この場でご議論していただければと思っている」と述べた。

今後は、具体的な薬価収載時の算定方法や市場拡大再算定の運用などについて薬価専門部会で、費用対効果評価について費用対効果評価専門部会で検討が進められる方針。検討状況を踏まえ、合同部会を開催し、議論をもとに総会で議論される。

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