【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

国立大学病院長会議 32病院が収支マイナス260億円に拡大見通し 診療報酬改定で人件費増を吸収できず

公開日時 2024/10/07 04:51
国立大学病院長会議は10月4日の記者会見で、「2024年度国立大学病院収支見込み」を発表し、42大学病院のうち32施設の合計赤字額が260億円に拡大すると強調した。高額な医薬品・材料の使用増に加えて、物価・エネルギー価格の高騰、医師の働き方改革や診療報酬改定に伴う賃上げ目標を上回る人件費が赤字額拡大の要因となっている。特に、大学病院の人件費は、診療報酬のプラス改定に伴う108億円の増収見込みに対し、343億円の支出増が見込まれると指摘。大鳥精司会長(千葉大学医学部附属病院病院長)は、「大変厳しい経営状況にあり、大学病院も縮小が求められている。地域医療への影響も避けられない」と窮状を訴えた。

◎医薬品・材料の使用量増加で前年度比121億円の支出増 人件費は343億円の支出増

42国立大学病院の2024年度収支見込みによると、病院全体の収支マイナスは235億円で、年度当初の赤字額58億円から大幅に拡大する見通し。収支マイナスと回答した大学病院は32施設あり、収支マイナス額は計260億円に及ぶ。支出増加の要因を項目別にみると、医療の高度化に伴い高額な医薬品・材料の使用量増加で、医療費は23年度実績の6514億円を121億円上回る。また、エネルギー価格高騰の影響に伴う光熱水費は、前年度実績の309億円を33億円上回る見込み。医師の働き方改革、処遇改善の影響による人件は前年度実績の5148億円から343億円増、業務委託費や老朽化が進む施設・設備への投資額は、前年度実績の2116億円から64億円それぞれ増加する見通しとした。

病院長会議が特に強調するのは人件費の増加。2024年度診療報酬改定による108億円の増収見込みに対し、「医師の働き方改革や人勧影響額を考慮した人件費は343億円の支出増が見込まれる」と指摘。大島会長は、「人件費だけでマイナス20億円以上の大学も出ている。国立大学病院において非常に足枷になっている」と訴えた。

◎地域医療介護総合確保基金の申請手続き状況 「自治体との折衝等の取組強化が必要」

一方で、地域医療介護総合確保基金の措置状況も公開。地域医療勤務環境改善体制整備特別事業への「申請手続き開始済み」は6病院(3.9億円)のみ。32病院が「未定」、4病院が「事業化なし・対象外」となっていた。また、勤務環境改善医師派遣等推進事業への「申請手続き開始済み」は2病院(6.3億円)のみ。29病院が「未定」、11病院が「事業化なし・対象外」となっている。病院長会議はこの状況について、自治体との調整がついていない病院や詳細な情報を得られていない病院が多いとして、「自治体との折衝等の取組強化が必要」とした。

◎「連休対応」を決めた大学病院が15施設 うち10大学病院が手術実施に関するもの

このほか、営業日数を見直し、土日・祝日に診療を行う「連休対応」を決めた大学病院が15施設(回答:44大学病院)あった。連休対応する15大学病院についてみると、うち10病院は手術実施(手術、放射線治療、化学療法、リハビリテーションなど含む)に関するものだった。大島会長は、「職員からの反発もある」と述べながらも、「ずっと赤字のまま経営できるわけがない。大学病院が縮小するということは地域医療や高度医療を捨てることにもなりかねない。国民にとってもデメリットになる」と警鐘を鳴らし、政府への対応を求めた。
プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
関連ファイル

関連するファイルはありません。

【MixOnline】キーワードバナー
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(1)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事

一緒に読みたい関連トピックス

記事はありません。
ボタン追加
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー