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新薬12成分 8月15日収載へ PNH治療薬・ファビハルタはピーク時215億円と予想

公開日時 2024/08/08 04:48
中医協総会は8月7日、新薬12成分17品目の薬価収載を了承した。収載日は8月15日。ピーク時売上予想が100億円以上の製品は、▽発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)治療薬・ファビハルタカプセル(ノバルティス ファーマ、215億円)▽抗てんかん薬・ブリィビアクト錠(UCBジャパン、178億円)、▽低亜鉛血症治療薬・ジンタス錠(ノーベルファーマ、116億円)――の3製品。このうちファビハルタの1日薬価は14万6436.20円、投与患者数はピーク時で496人と予測している。

◎24年度改革のイノベーション評価、4製品で

厚労省によると、今回の薬価収載予定品のうち4製品で、イノベーション評価が充実された24年度薬価制度改革の恩恵を受けた。武田薬品の乾燥濃縮人プロテインCを含む凍結乾燥製剤・セプーロチン静注用は小児加算が15%となったが、これは「疾患の希少性と臨床試験の組み入れ患者数などを踏まえ、これまでより大きく評価したもの」(厚労省担当官)。グラクソ・スミスクラインの気管支喘息治療薬の小児用レルベア吸入用は小児加算が10%ついたが、「海外と同時期に申請、承認されていることなどを踏まえ、これまでより大きく評価したもの」(同)だとしている。

小児用レルベア吸入用とジンタス錠は小児加算品目、日本たばこ産業のアトピー性皮膚炎等治療薬・ブイタマークリームは小児加算の要件に該当する品目のため、いずれも新薬創出等加算が適用された。

8月15日付で収載される製品は以下のとおり(カッコ内は成分名と薬価収載希望会社)。投与経路・薬効分類順。

ブリィビアクト錠25mg、同錠50mg(ブリーバラセタム、ユーシービージャパン)
薬効分類:113 抗てんかん剤(内用薬)
効能・効果:てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)
薬価:25mg1錠 373.30円(1日薬価:746.60円)
50mg1錠 609.30円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数4.8万人、販売金額178億円

加算:有用性加算(II)(A=5%):「既収載品と異なり、用法・用量に漸増期間及び増量間隔の規定がない本剤は、既収載品と比して使用に際しての利便性が高いと考えられることから、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが適当と判断した」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:加算適用)
費用対効果評価:該当する(H1)

レベチラセタムと同様に、てんかん発作に関わるとされる脳内の神経終末にあるシナプス小胞タンパク2A(SV2A)に結合することにより作用を発揮すると考えられている。錠剤の用法・用量は、「通常、成人には1日50mgを1日2回に分けて経口投与する。なお、症状により1日200mgを超えない範囲で適宜増減できる」。

ジンタス錠(ヒスチジン亜鉛水和物、ノーベルファーマ)
薬効分類:322 無機質製剤(内用薬)
効能・効果:低亜鉛血症
薬価:50mg1錠 232.90円(1日薬価:465.80円)
市場予測(ピーク時7年後):投与患者数12万人、販売金額116億円

加算:小児加算(A=5%):「本剤は小児に係る用法・用量が明示されていること等から、加算の要件に該当する。日本人の試験組み入れ数等を踏まえ、加算率は5%が妥当である」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:小児加算適用)
費用対効果評価:該当しない

亜鉛を含有する医薬品。 同剤を投与することで血中の亜鉛濃度の上昇を期待する。開発コードはNPC-25。用法・用量は、「通常、成人及び体重30kg以上の小児では、亜鉛として、1回50~100mgを開始用量とし1日1回食後に経口投与する。なお、血清亜鉛濃度や患者の状態により適宜増減するが、1日1回150mgを超えないこと」。

厚労省によると、既承認の低亜鉛血症の適応を持つノベルジンと同様の亜鉛製剤であり、臨床的位置づけは、低亜鉛血症患者の治療選択肢のひとつとなる。

ファビハルタカプセル200mg(イプタコパン塩酸塩水和物、ノバルティス ファーマ)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品(内用薬)
効能・効果:発作性夜間ヘモグロビン尿症
薬価:200mg1カプセル 7万3218.10円 (1日薬価:14万6436.20円)
市場予測(8年後):投与患者数496人、販売金額215億円

加算:有用性加算(II)(A=5%):「本剤は、補体B因子阻害作用を有する新規作用機序医薬品であり、臨床上の有用性が評価されていることから、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが適当と判断した」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:加算適用)
費用対効果評価:該当しない

補体B因子阻害薬。用法・用量は「通常、成人には1回200mgを1日2回経口投与する」となり、経口単剤療法で承認された。PNHに対する経口薬としては、補体D因子阻害薬・ダニコパン(ボイデヤ錠)があるが、ボイデヤは補体C5阻害薬(注射剤)との併用療法で承認されている。

オムジャラ錠100mg、同錠150mg、同錠200mg(モメロチニブ塩酸塩水和物、グラクソ・スミスクライン)
薬効分類429 その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:骨髄線維症
薬価:
100mg1錠 2万1214.00円
150mg1錠 3万1821.00円
200mg1錠 4万2428.00円(1日薬価:4万2428.00円)
市場予測(ピーク時5年後):投与患者数284人、販売金額41億円

加算:有用性加算(II)(A=5%):「本剤はJAK阻害薬による治療歴のある患者に対し効果が認められたこと等から、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが適当と判断した」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:加算適用)
費用対効果評価:該当しない

JAK1、JAK2の阻害に加え、アクチビンA受容体1型(ACVR1)阻害という3つ目の新規のシグナル伝達経路を阻害する独自の作用機序を持つ。用法・用量は「通常、成人には200mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。

国内で骨髄線維症の適応を持つJAK阻害剤として、ノバルティス ファーマのジャカビがある。

ジャイパーカ錠50mg、同錠100mg(ピルトブルチニブ、日本イーライリリー)
薬効分類429 その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:他のBTK阻害剤に抵抗性又は不耐容の再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫
薬価:50mg1錠 1万201.00円
100mg1錠 1万9465.80円(1日薬価:3万8931.60円)
市場予測(ピーク時8年後):投与患者数137人、販売金額11億円

加算:有用性加算(II)(A=10%):「本剤は、BTK阻害剤に抵抗性又は不耐容の患者群において効果が認められており、米国NCCNガイドラインの記載等から、本邦においても標準的治療として位置づけされ得ると考えられることから、有用性加算(II)(A=10%)を適用することが適当と判断した」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:加算適用)
費用対効果評価:該当しない

ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤。用法・用量は「通常、成人にはピルトブルチニブとして200mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。

国内でBTK阻害剤としては、ヤンセンファーマのイムブルビカカプセル(イブルチニブ)がマントル細胞リンパ腫1次治療の適応を持っている。

ハイイータン錠 50mg(グマロンチニブ水和物、海和製薬)
薬効分類429 その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
薬価:50mg1錠 4382.30円(1日薬価:2万6293.80円)
市場予測(ピーク時4年後):投与患者数297人、販売金額16億円

加算:なし
新薬創出等加算:該当しない
費用対効果評価:該当しない

経口MET阻害薬。用法・用量は「通常、成人には1回300 mgを1日1回空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。

海和(読み:ハイヘ)製薬は、中国Haihe Biopharmaの日本法人。ハイイータン錠が日本進出の第1号製品となる。大鵬薬品との本剤の開発・製造・販売に関する独占的ライセンス契約に基づき、大鵬薬品が情報提供活動及び販売を行う。

なお、国内の同種同効薬にはメルクバイオファーマのテプミトコやノバルティス ファーマのタブレクタがある。

アビガン錠200 mg(ファビピラビル、富士フイルム富山化学)
薬効分類:625 抗ウイルス剤(内用薬)
効能・効果:重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルス感染症
薬価:200mg1錠 3万9862.50円
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数70人、販売金額2.2億円

加算:市場性加算(I)(A=10%):「本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:該当しない

RNAポリメラーゼ阻害剤。抗インフルエンザ薬として承認された際にアビガン錠に付された「厚生労働大臣の要請がない限りは、製造販売を行わないこと」といった一部承認条件を重症熱性血小板減少症候群(SFTS)には適用しないことを含め、承認された。流通管理は、▽原則として入院管理下のみで投与する、▽原則として患者が発生した後に納入する、▽研修を受けて登録された医師のみ処方を可能とする――となる。

リブテンシティ錠200mg(マリバビル、武田薬品)
薬効分類:625 抗ウイルス剤(内用薬)
効能・効果:臓器移植(造血幹細胞移植も含む)における既存の抗サイトメガロウイルス療法に難治性のサイトメガロウイルス感染症
薬価:200mg1錠 3万7536.20円
市場予測(ピーク時8年後):投与患者数151人、販売金額11億円

加算:
有用性加算(I)(A=40%):「本剤はUL97キナーゼを標的分子とした新規作用機序医薬品であること、既存の抗サイトメガロウイルス療法に難治性の患者に対して有効性が期待できること等から、有用性加算(I)(A=40%)を適用することが適当と判断した」
市場性加算(I)(A=10%):「本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:該当しない

経口投与可能なpUL97キナーゼ阻害薬。pUL97キナーゼとその天然基質を標的として阻害する最初で唯一の抗ウイルス剤。用法・用量は「通常、成人には1回400mgを1日2回経口投与する」。

臓器移植におけるCMV感染症対策として予防的投与と先制治療が行われている。国内で先制治療に用いられる既承認の抗CMV薬にはガンシクロビルなどがある。予防的投与の位置付けでは、MSDのプレバイミスが承認されている。

ザビセフタ配合点滴静注用(アビバクタムナトリウム・セフタジジム水和物、ファイザー)
薬効分類613 主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの(注射薬)
効能・効果:本剤に感性の大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、インフルエンザ菌、緑膿菌による敗血症、肺炎、膀胱炎、腎盂腎炎、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、肝膿瘍
薬価:(2.5g)1瓶 1万6111円(1日薬価:4万8333円)
市場予測(ピーク時10年後);投与患者数622人、販売金額2.5億円

加算:有用性加算(I)(A=35%):「本剤は、既収載のβ-ラクタマーゼ阻害薬と比べより広範囲のβラクタマーゼを阻害すること、比較薬で効果が不十分な患者に対する治療選択肢となり得ることから、有用性加算(I)(A=35%)を適用することが適当と判断した」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:加算適用)
費用対効果評価:該当しない

セフェム系抗菌薬・セフタジジム水和物に、新規のβ-ラクタマーゼ阻害薬・アビバクタムナトリウムを配合した注射用β-ラクタマーゼ阻害剤配合抗生物質製剤。薬剤耐性(AMR)対策への新たな治療選択肢として開発された。

セプーロチン静注用1000単位(乾燥濃縮人プロテインC、武田薬品)
薬効分類:634 血液製剤類(注射薬)
効能・効果:先天性プロテインC欠乏症に起因する静脈血栓塞栓症及び電撃性紫斑病の治療及び血栓形成傾向の抑制
薬価:1,000国際単位1瓶(溶解液付) 55万8108円 (1日薬価:267万8918円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数16人、販売金額1.7億円

加算:
有用性加算(II)(A=5%):「本剤は、比較薬の注射用アナクトCは24時間の点滴静脈内注射であるのに対し、本剤は6時間又は12時間毎の静脈内注射であり、投与時間も短縮されていることを踏まえ、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが適当と判断した」
小児加算(A=15%):「本剤は小児に係る用法・用量が明示されていること等から、加算の要件に該当する。日本人の試験組入れ数等を踏まえ、加算率は15%が妥当である」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:加算適用)
費用対効果評価:該当しない

ヒト血漿を分画して精製し、ウイルスの除去および不活化処理を施した静脈内注射用の乾燥濃縮人プロテインC製剤。用法・用量は、▽急性期治療及び血栓形成傾向の抑制における短期補充(周術期、抗凝固療法開始時等)、▽血栓形成傾向の抑制における長期補充――で設定される。

対象疾患である先天性プロテインC欠乏症は、肝臓で産生されて血液凝固を抑制する働きがあるプロテインCを先天的に欠乏していることにより血液凝固亢進状態となり、ときに致死的な血栓症を発症する。セプーロチンは、内因性プロテインCと同様に抗凝固作用を発揮する。

小児用レルベア50エリプタ14吸入用、同50エリプタ30吸入用(フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ビランテロールトリフェニル酢酸塩、グラクソ・スミスクライン)
薬効分類:229 その他の呼吸器官用薬(外用薬)
効能・効果:気管支喘息(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)
薬価:14吸入1キット 2367.40円
30吸入1キット 4846.80円(1日薬価:161.60円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数8.8千人、販売金額9600万円

加算:小児加算(A=10%):「本剤は小児に係る用法・用量が明示されていること等から、加算の要件に該当する。本邦における承認は米国と比べて大きく遅れていないこと等を踏まえ、加算率は10%が妥当である。」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:小児加算適用)
費用対効果評価:該当しない

ステロイド薬と長時間作用型β2刺激薬(LABA)の配合剤。2013年9月に成人気管支喘息の適応で承認されており、24年6月に小児用量の追加と小児用の剤形追加を承認された。

小児気管支喘息に対する用法・用量は、5歳以上12歳未満の小児に対しては通常、「小児用レルベア50エリプタ1吸入(ビランテロールとして25μg及びフルチカゾンフランカルボン酸エステルとして50μg)を1日1回吸入投与する」。12歳以上の小児に対しては通常、「レルベア100エリプタ1吸入(ビランテロールとして25μg及びフルチカゾンフランカルボン酸エステルとして100μg)を1日1回吸入投与する」。

ブイタマークリーム1%(タピナロフ、日本たばこ産業)
薬効分類269 その他の外皮用薬(外用薬)
効能・効果:アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬
薬価:1%1g 300.80円(1日薬価:601.60円)
市場予測(ピーク時7年後):投与患者数61万人、販売金額90億円

加算:なし
新薬創出等加算:該当する(主な理由:小児加算要件該当)
費用対効果評価:該当しない

アリル炭化水素受容体(AhR)調整薬の外用剤。アトピー性皮膚炎の用法・用量は「通常、成人及び12歳以上の小児には、1日1回、適量を患部に塗布する」、尋常性乾癬は「通常、成人には、1日1回、適量を患部に塗布する」。

アトピー性皮膚炎の治療の中心は抗炎症外用剤であり、ステロイド外用剤やタクロリムス軟膏に加え、新たな選択肢としてJAK阻害薬・コレクチム軟膏が20年1月に、PDE4阻害薬・モイゼルト軟膏が21年9月に承認されている。コレクチムとモイゼルトはいずれも1日2回塗布となっている。一方、尋常性乾癬の外用療法には、活性型ビタミンD3外用剤とステロイド外用剤が広く使用されている。

ブイタマーは、日本たばこ産業(JT)がスイスのDermavant Sciences社から導入し、鳥居薬品と国内共同開発した。
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