日本医学会連合 「医薬品安定供給に関する提言」を医政局長に手渡し 安定確保医薬品の見直しは協働で
公開日時 2024/06/14 04:53
日本医学会連合(門脇孝会長)は6月13日、「医薬品安定供給に関する提言」を取りまとめ、厚労省の浅沼一成医政局長に手渡したと発表した。提言では、「安定確保すべき医薬品の種類は年を追うごとに変化することが考えられるものの、3年前から変更が行われず、多くの医療系学会の幹部が“リストを知らない”ことも判明した」と指摘。安定確保医薬品の定期的なリスト見直しを厚労省と協働で行い、「関係者に周知し、薬価を含めた政策に反映すべき」と促した。また、厚労省の会議体に日本医学会連合を代表する委員が招集されてこなかったとも指摘し、「会議体の構成員ないし参考人を招集し、発言の機会が与えられる」ことを要望した。
今回の提言は、医薬品の安定供給をめぐる課題について加盟学会の会員に対するアンケート調査をベースに構成されている。調査は今年1月30日~2月19日に実施。388人から回答(臨床内科179人、臨床外科187人、基礎13人、社会9人)を得た。
◎供給不安の政策検討においては「水際対応を迫られる医療者や患者の意見を聴取すべき」
供給不安の臨床現場への影響についてアンケート結果では、医薬品の供給不安定による患者の反応として、「不安」(とても当てはまる:31.9%、やや当てはまる:42.2%)や、「戸惑い」(とても当てはまる:29.0%、やや当てはまる:39.9%)が多く生じていると強調。実際の臨床の場面でも、医師の側で代替薬切り替えなどの工夫で、患者への影響を最小限にする努力が行われているとした。
この結果を受け提言では、「供給不安に対する政策を検討する際は、水際で対応を迫られる医療者や、不安や戸惑いを抱く患者の意見を聴取し、ニーズを汲み取ることが重要」と指摘した。
◎メトトレキサートやウロキナーゼなど代替薬が厳しい重要薬剤の供給不安が現場に影響
「安定確保医薬品」のリストについては、2022年度薬価改定で「安定確保医薬品」のうち8成分が「基礎的医薬品」として指定され、安定確保に向けた薬価下支えの方策が取られたと指摘。今回のアンケート調査でも、「抗生物質に加え、メトトレキサート(カテゴリーA)やウロキナーゼ(カテゴリーB)などの代替薬が厳しい重要薬剤の供給不安が現場に影響を与えていることが判明した」として、安定確保すべき医薬品の種類は年を追うごとに変化することが考えられると強調。一方でアンケート調査から多くの医療系学会の幹部が「リストを知らない」という結果も見えたとし、「厚労省と日本医学会連合が協働して、定期的なリストの見直しの仕組みを導入した上で、関係者に向けて周知し、薬価を含めた政策に反映すべき」と提言した。
◎「安定確保医薬品」の迅速かつ適正な見直し 会議体の構成員、参考人として招集」すべき
さらに、「安定確保医薬品」の迅速かつ適正な見直しのためには、専門的治療の発展と普及を担う医学系学術団体の協力が不可欠であると強調し、「多様なステークホルダーの意見を求める仕組みの一環として、これらの会議体の構成員ないし参考人として招集し、発言の機会が与えられることを要望」するとした。