スズケン・浅野社長 「メインテーマは言うまでもなく流通改善」 薬価差以外の製品価値による交渉徹底
公開日時 2024/05/16 04:50
スズケンの浅野茂代表取締役社長は5月15日の決算説明会で、「メインテーマは言うまでもなく流通改善。2024年度は医薬品卸にとって大変重要な年である」と強調した。改訂版・流通改善ガイドラインを遵守し、「メーカーからの信頼を得るためにも、今回の流通改善がラストチャンスと考えており、覚悟を持って実践し、結果を残していくことが重要だ」と意欲を示した。一方で同社が掲げる健康創造事業体への転換では、「卸の環境変化を考えると最小人員で得意先との信頼関係を一層維持・評価していくためにも効果的な営業活動への変革が急務」と強調。マルチチャネルによる顧客接点の最大化で接触量を拡大し、得意先の満足度の向上につながる営業改革にチャレンジしているところ」と説明した。
「制度変更になる2024年度は正念場の年」-。浅野社長は、「お得意様においては、薬価差以外の価値で取引頂けるよう信頼をより高めていく。例えばデジタルを活用した効率化、またキュービックスシステムによる不動品のリフレッシュ機能による医薬品廃棄ロスの削減などの課題解決に向けた提案が、得意先からの信頼獲得につながり、一層、卸の役割、機能として求められるものと考えられる」と強調した。なお、キュービックスシステムによる不動品のリフレッシュにより、23年度は医療機関において、約42.8億円の廃棄削減に貢献できたという。
◎健康創造事業体への転換-土台となるのがヒト デジタル活用でMSと顧客との接触機会を最大化
浅野社長はまた、「健康創造事業体への転換に向けた取り組みの土台となるのがヒトである」と強調。新たな営業の姿として、デジタルを最大活用したバックヤード機能の拡充やコラボポータルの活用で、処方元へのさらなるリアル訪問(接触)の最大化を図る方針を明示した。また「DX人材」と呼ぶデジタル人材を育成する「DXリスキリングプログラム」を社内に導入していると説明。24年3月期実績で、初級コースの「ITパスポート」は1973人、中級コースの「情報セキュリティマネジメント」に694人、「DX検定600点」に430人が合格した。
◎「DXアンバサダー」50人を全国に配置 MSがDXツールを得意先に提案
さらに、同プログラムで認定を受けた「DXアンバサダー」50人を全国に配置。MSがDXツールを得意先に提案できる仕掛けづくりを行っている。物流面では、同プログラムで認定を受けた「GDPスペシャリスト」130人を各知道府県に配置。メーカー物流のGDP品質を卸物流に移植、GDP対応強化とインフラ/情報/ソフト(人材)が連動する新しい収益モデルへ挑戦するとした。
◎24年3月期連結業績 売上高2兆3864億9300万円、営業利益は348億7500万円
同社の24年3月期連結業績は、売上高2兆3864億9300万円(前期比3.1%増)、営業利益は348億7500万円(同7.0%増)の増収増益。医薬品卸売事業セグメントの売上高は2兆2991億8000万円(同3.2%増)、営業利益は224億円(同12.5%増)。
25年3月期通期業績予想は、売上高2兆3730億円(前期比0.6%減)営業利益285億円(同18.3%減)を見込む。