アルフレッサHD・荒川社長 単品単価交渉、過度な薬価差の偏在解消「より強く意識」 粗利率0.17pt改善
公開日時 2024/11/11 04:51
アルフレッサホールディングス(HD)の荒川隆治代表取締役社長は11月8日の2024年度第2四半期決算説明会で、24年度上期の医療用医薬品等卸売事業の売上総利益は前年同期比5.3%増の758億2400億円になったと報告した。売上総利益率は5.85%で前年同期から0.17ポイント改善した。荒川社長は、単品単価交渉の徹底や過度な薬価差の偏在解消を「より強く意識して得意先との交渉にのぞんだ」と強調。業界としてもこの数年間、過度な薬価差の解消に取り組んでいるとし、「少しずつではあるが(流通)改善されていると手応えを感じている」と述べた。長期収載品の選定療養による影響については、「一部の外用薬で想定以上のマイナス影響を受けている」との認識を示した。
◎9月末妥結率 「ほぼ100%に近いところ」
24年度上期の医療用医薬品等卸売事業の業績は、売上高が前年同期比2.3%増の1兆2965億8800万円、売上総利益は5.3%増の758億2400万円、販管費は8.5%増の631億6500万円、営業利益は8.2%減の126億5800万円、営業利益率は0.11ポイント悪化の0.98%――だった。9月末の妥結率は「ほぼ100%に近いところ」(アルフレッサHDコーポレートコミュニケーション部)だった。
◎荒川社長「一次売差マイナスの改善が粗利率の改善につながった」
荒川社長は24年度上期について、4月の薬価改定によるマイナス影響はあったものの、市場が伸長し、中でも特許品・新薬創出加算品の販売増加により2.3%の増収になったと説明した。カテゴリー別の売上構成比は、新薬創出加算品(構成比40.5%)と特許品・その他(同40.0%)を合わせた特許期間中の製品群で80.5%を占め、前年同期から3.9ポイント伸びた。これに対して長期収載品や後発品の売上構成比はさらに低下した。
上期の価格交渉に関しては、「単品単価交渉の徹底、過度な薬価差の偏在の解消に重きを置いて価格交渉、流通改善に取り組んだ」と振り返った。粗利率の改善につながったことには、「流通改善ガイドラインに則り、納入加重の改善を図ってきた。一次売差マイナスの改善が粗利率の改善につながったと分析している」とし、下期も流通改善GLを踏まえた活動を継続する姿勢をみせた。ただ、19年度からの毎年改定やインフレの市場環境下では「製薬企業、医薬品卸、得意先も含め、非常に経済的に厳しい。毎年ますます厳しくなっている」とも指摘し、中間年改定の廃止を含めた、より持続可能な薬価制度のあり方の議論が進展することに期待感も示した。
なお、24年度上期の営業減益は、主にベースアップに伴う人件費増、5月に稼働したつくば物流センター(茨城県つくば市)及び宇部物流センター(山口県宇部市)の物流費や減価償却費などのコスト増が影響した。
◎メーカー別売上構成比 1位は第一三共 2位はGSK 3位はMSD
主要メーカー別の売上構成比は、1位は引き続き第一三共で売上構成比は前年同期比0.2ポイント増の6.1%、2位はグラクソ・スミスクラインで0.1ポイント減の4.7%、3位はMSDで0.4ポイント減の3.9%、4位は武田薬品で0.3ポイント減の3.4%、5位は中外製薬で0.6ポイント減の3.2%――だった。
◎長期収載品の選定療養の影響 「感覚的には、一部の外用薬で想定以上のマイナス影響」
このほか、同社の福神雄介代表取締役副社長は、長期収載品の選定療養化による事業への影響について、「いかんせん10月からの新制度。まだ定量的に分析できるほどの数値は得ていない」としたものの、「傾向としては長期収載品にとってはマイナスの影響があり、後発品にはプラスの影響が出るのは間違いない」との認識を示した。荒川社長は、「大きい流れは福神副社長の説明の通り」とした上で、グループ内で調剤薬局チェーンを展開するアポクリート社からの報告として「感覚的には、一部の外用薬で想定以上のマイナス影響を受けている」と明らかにした。
10月から選定療養の対象となった長期収載品については、長期収載品の薬価と後発品の最高価格帯との価格差の4分の1に相当する額を患者が追加負担するルールが施行された。