サノフィ デュピクセントでCOPDの適応追加を申請 COPDに対する初の生物学的製剤に
公開日時 2024/05/01 04:50
サノフィは4月26日、ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体・デュピクセント皮下注について、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対する適応追加を一変申請したと発表した。承認された場合、同剤はCOPD治療における初の生物学的製剤となる。
デュピクセントはサノフィとリジェネロンがグローバル提携契約の下で共同開発しており、日本では本剤のアトピー性皮膚炎などの皮膚領域適応で共同販促している。COPD適応についても共同販促するかについてサノフィ広報部は本誌に、「今後の展開については非開示」と答えた。グローバルにおけるデュピクセントのCOPD適応は米国、欧州、中国で申請中となっている。
今回の日本での申請は、日本人が含まれる無作為化第3相二重盲検試験であるBOREAS試験に加え、NOTUS試験の中間解析結果に基づき行われた。これらの試験は、気管支拡張薬やステロイドの吸入などを用いても効果不十分なCOPD患者(現喫煙者及び既喫煙者を含む)を対象に、標準治療の吸入薬の最大用量に、デュピクセントまたはプラセボを追加投与し、デュピクセントの有効性と安全性を検討したもの。
このうちBOREAS試験では、主要評価項目の試験開始後52週間における中等症または重症の急性増悪の年間発現率を、デュピクセント群はプラセボ群に比べ30%低下させた(p<0.001)。12週時点におけるベースラインからの呼吸機能の改善度は、デュピクセント群は160mL、プラセボ群は77mLだった(p<0.001)。数値の改善は2週後にみられ、デュピクセント群のプラセボ群に対する改善効果は52週後まで持続した(デュピクセント群153 mL、プラセボ群70 mL; p<0.001)。
COPDは気管支に炎症が起こり、不可逆的な呼吸機能の低下を進行させる、生命を脅かす深刻な呼吸器疾患。治療には気管支拡張薬やステロイドの吸入などが用いられるが、根本となる肺の炎症にはほとんど対処できず、標準治療を受けても症状が持続することが多い。
このためサノフィは、「その症状や増悪、呼吸機能、健康状態など、疾患のあらゆる側面でさらなる改善をもたらす新しい治療選択肢が求められている」と指摘している。COPDでは10年以上、新しいアプローチの治療薬が発売されていない。