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厚労省検討会が骨子案 後発品安定供給へ集中改革期間で「あるべき姿」取戻す 業界のイニシアティブで

公開日時 2024/03/28 04:52
厚生労働省は3月27日に開かれた「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会」に、「後発医薬品産業のあるべき姿と対策の方向性(報告書骨子案)」を提示した。医薬品の安定供給を「社会的責任」として果たすための、“ベースライン”として、①製造管理・品質管理体制の確保、②持続可能な産業構造、③安定供給能力の確保-を目指す必要性を指摘した。「企業自らが率先して構造改革に取り組む」必要性を強調。設定した集中改革期間で、個々のジェネリック企業とジェネリック業界に対し、自らのイニシアティブで業界再編や企業間の連携・協力の推進、生産性の向上、人材の育成を推進する必要性を指摘した。集中改革期間としては、構成員から「5年間」との声もあった。

◎構造改革は「業界自らのイニシアティブで進めていくべき」

「まずは、医薬品を国民に供給する企業の社会的責任として当然の前提、いわばベースラインとして、後発医薬品産業の本来あるべき姿を取り戻さなければならない」-。骨子案ではこう指摘した。具体的には、① 全ての企業において製造管理・品質管理体制が整っていること(製造管理・品質管理体制の確保)、② 収益と投資の好循環が確立しており、産業として持続可能な形になっていること(持続可能な産業構造)、③ それぞれの企業において医薬品を安定的に供給できる体制が保たれるとともに、産業全体として必要に応じて増産を行う余力のある体制が確保できていること(安定供給能力の確保)-の実現を目指す必要性を指摘した。

実現に向けて、「個々の後発医薬品企業と産業全体において、これらを実現するための生産性の向上、人材の育成等ガバナンスの強化、業界再編や企業間の連携・協力の推進を業界自らのイニシアティブで進めていくべき」とした。実施できるものから迅速に着手しつつ、集中改革期間で早急に実現し、供給不安の早期の解消と再発の防止を着実に行っていくことが必要とした。

◎安定供給実現の先のビジョンは「産業全体で自ら描くべき」

そのうえで、安定供給を実現した姿の先にある、今後の需要の変化への対応や海外展開、バイオシミラーの研究開発への対応などの将来ビジョンは「後発医薬品産業全体で自ら描いていくべき」ことも指摘した。

◎「ある程度大きな規模」での生産必要性指摘 独禁法に抵触しない具体事例集で周知も

少量多品目生産の適正化などの生産性効率を図るうえで、「ある程度大きな規模で生産や品質管理等を行っていくための体制を構築」する必要性を指摘。企業間の連携・協力や役割分担、コンソーシアム構想や企業統合などの方策があるとして、「企業間の品目統合やそれに伴う各企業での品目削除により少量多品目生産を適正化し、品目ごとの生産能力や生産規模を増大させ、採算がとれる生産体制を構築する」必要性を指摘した。また、製造部門、品質管理部門、営業部門、販売部門など様々な段階での企業間の協業により効率化を図ることが期待できるとした。このため、企業間の連携・協力を推進するための方策について検討すべきとした。

企業間の連携が独占禁止法に抵触するリスクがあることが指摘される中で、「現行法の中で問題なく行える企業間連携等の具体的な事例について、わかりやすく示した事例集等を作成し周知」することや、厚労省に相談窓口を設置し、手続きのサポートを行うことなども盛り込んだ。

また、企業間の連携・協力については、「政府が企業の取組みを後押ししていくことが必要」とした。

◎規格揃え「一定期間後は一定条件下で規格揃え原則を適用せず、薬価削除プロセスを簡素化」

業界があるべき姿を実現するうえで後押しする施策も盛り込んだ。少量多品目生産の適正化をめぐっては、製造方法等の変更管理における薬事手続きで中等度変更事項、年次報告を試行導入するほか、供給停止・薬価削除プロセスの簡素化の検討などを盛り込んだ。規格揃え原則についても、「収載時は全規格を取り揃えることを原則としつつ、一定期間後は、医療上の必要性等に照らして、一定の条件下で規格揃え原則を適用せず、薬価削除プロセスを簡素化することを検討」することとした。流通改善の必要性も強調した。

「安定供給能力の確保」をめぐっては、企業間の委受託関係を透明化・責任を明確化する必要性も盛り込んだ。後発品の企業指標に伴って、柱に据えられた「後発品の安定供給に関連する情報の公表」の中で、「委受託関係を透明化するとともに、安定供給体制の確保に係る責任の在り方を整理していく」必要性も指摘した。また、供給不安時の迅速な対応を実現する「医薬品等の安定供給確保に係るマネジメントシステムの確立」の必要性も盛り込んだ。

◎GE薬協「各企業が競争力を高め、変化に対応していかなければならない」

日本ジェネリック製薬協会の(GE薬協)はこの日の検討会で、“ジェネリック医薬品産業のあるべき姿”について、「ジェネリックメーカー各社が、今後より一層自社の役割を明確化していき、産業としての健全な競争が促されることが必要と考える。ジェネリック医薬品産業が持続可能な産業であり続けるためには、各企業が競争力を高め、変化に対応していかなければならない。そのような企業がジェネリック医薬品産業にあるべきと考える」との意見を示した。協会としては、「この取り組みを支援する」とした。

喫緊の課題である安定供給については、「生産品目数の適正化や各社生産の効率化を図り、生産キャパシティの確保に努める」と表明。「製剤開発力・製造技術力の向上もさらなる成長には欠かせない。今後も発生を想定しておかなければならない大規模災害などの有事の際は、被災を免れた製造所から医薬品を供給するなどの協力体制の構築も図っていく必要がある」として、「自社別事業所でのバックアップ生産体制や、信頼のおける企業間でのアライアンス体制の強化が各企業間で取り組まれるものと思う」などとの意見を示した。

構成員からは、「産業のあるべき姿について、具体的にどのような体制で進めていくのか」、「達成に向けてロードマップやKPIなどを設定するべきではないか」との声があがった。事務局によると、日本ジェネリック製薬協会は、「検討会の取りまとめの状況を踏まえて考えていきたい」と応じたという。

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