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住友ファーマ 次期主力品候補ウロタロントを大塚製薬に導出 4つの新薬候補化合物の契約改定

公開日時 2024/03/18 04:50
住友ファーマと米国子会社Sumitomo Pharma America(SMPA社)は3月15日、精神神経領域で開発中のウロタロントを含む4つの新薬候補化合物に関する大塚製薬とのライセンス契約を改定したと発表した。これまで共同開発していたウロタロントは、契約改定により、大塚製薬が全適応症について全世界で単独で開発・製造・販売を行うことになった。住友ファーマは自社品のウロタロントを次期主力品候補と位置付けていたが、想定以上の業績悪化を受けて開発優先品目を検討した結果、ウロタロントは開発により多くの時間と費用がかかると判断。大塚製薬に導出することを決めた。

◎ウロタロントとSEP-380135は大塚製薬の単独開発に SEP-4199とSEP-378614は住友ファーマで

ライセンス対象の4化合物はこれまで全て共同開発していた。今回の契約改定により、ウロタロントと、中枢神経系に作用する低分子経口剤「SEP-380135」(米国第1相試験実施中、対象疾患:未定)の2化合物について、大塚製薬はSMPA社から、全世界における独占的な開発・製造・販売の権利を得た。一方で、「SEP-4199」と「SEP-378614」の2化合物はライセンス対象から外れ、住友ファーマグループが今後の開発方針を検討することになった。

ウロタロントとSEP-380135の開発及び商業化に成功した場合、大塚製薬はSMPA社に対し、マイルストンとして両化合物合計で最大3000万米ドル(約45億円)、及び売上に応じたロイヤルティを支払う可能性がある。契約改定に係る契約一時金は発生しない。また、一部の試験を除き、現在、住友ファーマグループ及び大塚製薬で実施している試験の24年1月以降の費用は大塚製薬が負担する。

◎大塚製薬 ウロタロントの統合失調症の開発継続へ FDAから「前向きなフィードバックを得た」

セロトニン5-HT1Aアゴニスト活性を持つTAAR1アゴニストのウロタロントは、住友ファーマがピーク時売上2000億円以上あった抗精神病薬・ラツーダを超える大型品になると期待する次期主力品候補。しかし、統合失調症を対象とした米国での第3相臨床試験で主要評価項目を達成できず、統合失調症での承認取得を目指す場合、追加試験が必要になった。

大塚製薬はこの日、「統合失調症を対象とした臨床試験結果についてFDAと会議を行い、概して前向きなフィードバックを得た」ことを明かし、統合失調症の追加試験を行う方向を示した。「前向きなフィードバック」の詳細は現時点では明らかにしていない。また、ウロタロントは現在、米国市場で統合失調症よりも有病者数が多い大うつ病補助療法や全般不安障害を対象とした第2/3相臨床試験が進んでいる。大塚製薬は、統合失調症に対するFDAからのフィードバックや、大うつ病補助療法などの臨床試験の進捗及び市場性などを総合的に検討した結果、「本剤のポテンシャルは依然として高いと判断し、開発を継続することにした」とコメントした。

◎住友ファーマ 中計期間中の収益貢献、開発費削減の両面からウロタロント導出を判断

一方、住友ファーマは、23年2月に米国で特許切れしたラツーダの減収影響が大きい上、業績回復のカギを握る北米基幹3製品(オルゴビクス、マイフェンブリー、ジェムテサ)が振るわないことも重なるなどして業績が急速に悪化。23年度のコア営業損失は1340億円の見込みで、必達目標の“24年度のコア営業利益の黒字化”に向けて北米基幹3製品の早期最大化と各種コストの削減が喫緊の課題になっている。コスト削減に関しては野村博代表取締役社長が2月に、研究開発費の削減にも踏み込む考えを示していた(記事はこちら

ウロタロントは想定以上に多くの開発費と時間が必要になったため、住友ファーマはこの日、27年度を最終年度とする現中期経営計画の期間中に「(ウロタロントを)収益に結び付けることが難しくなった」とコメント。さらに24年度の黒字化目標に向けた開発費削減の観点も踏まえ、ウロタロントを導出することにしたと説明した。

◎最優先開発品に2つの抗がん剤、パーキンソン病対象のiPS細胞を用いた再生医療等製品

住友ファーマグループとしては今後、「中期経営計画中での上市が期待できる」との理由で、抗がん剤2製品(TP-3654、DSP-5336)とiPS細胞を用いた再生医療等製品「DSP-1083」の開発プログラムに最優先に取り組む。TP-3654は骨髄線維症を対象疾患に、DSP-5336は急性白血病を対象疾患に、いずれも米国・日本で第1/2相試験段階にある。DSP-1083はパーキンソン病を対象疾患に米国・日本で医師主導の第1/2相試験段階にある。

なお、今後開発方針を決める2化合物のうちSEP-4199は、双極I型障害うつを対象に日米で第3相試験を行っていたが、リクルート進捗の年単位の遅れを含めて事業性も考慮した結果、既に同試験を中止している。SEP-4199はこれ以外に臨床試験は行っていない。SEP-378614は中枢神経系に作用する低分子経口剤で、米国で第1相試験(対象疾患:未定)の段階にある。
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