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厚労省 販売情報提供GLのQ&A発出 比較情報の提供は「GLに抵触しない」も要件求める 一覧表も提供可能

公開日時 2024/02/22 05:25
厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課は2月21日、販売情報提供活動ガイドラインのQ&Aについて事務連絡を発出し、「他社製品との比較情報」についての取り扱いを明示した。医師または薬剤師の求めに応じた比較情報を提供する行為自体は、「当該規定には抵触しない」と明記。ただし、「科学的・客観的根拠に基づき正確なものでなければならないこと。また、他社製品にとって不利となる情報のみを恣意的に選択しないこと」など4要件を全て満たすことを求めた。医療従事者からニーズの高い有効性を比較した一覧表についても、要件を満たせば提供可能とした。

(医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインに関する Q&Aについて(その4)はこちら

販売情報提供活動GLは、ディオバン事件やCASE-J事案などの臨床研究不正などを通じ、明確な虚偽・誇大には至らないものの不適切使用を助長する行為や、研究論文などで企業側の関与が判断しにくい行為も指摘されてきたことを踏まえて策定された経緯がある。このため、GLには、不適正使用又は誤使用を誘発しないよう、「他社製品を誹謗、中傷すること等により、自社製品を優れたものと訴えること」を行わないよう、明記されている。

比較情報について明確な禁止事項はないが、製薬企業側が販売情報提供活動GLや製薬協のコードへの抵触を恐れ、独自にルールを定めているケースも多い。このため、医療従事者からは、企業間で対応に差があるなど、医療従事者のニーズに合致した情報提供がなされていない実態が指摘されていた。今回のQ&A発出で、比較情報が提供できる場面を整理。医療従事者のニーズに合致した情報提供を後押ししたい考えだ。

◎「要求内容・要求者に限定」、「他社に不利となる情報のみを恣意的に選択しない」など要件

Q&Aでは、「医師または薬剤師の求めに応じた比較情報を提供する」行為については、ガイドラインに抵触しないことを明記。そのうえで、①情報提供する内容は、要求内容に沿ったものに限定するとともに、情報提供先は要求者に限定すること。また、提供情報を要求内容に沿ったものとするため、当該医師又は薬剤師に対し、求められている具体的な情報を確認すること、②医療関係者・患者等から情報提供を求められていないにもかかわらず、求められたかのように装わないこと、③提供する情報は、虚偽・誇大な内容であってはならず、科学的・客観的根拠に基づき正確なものでなければならないこと。また、他社製品にとって不利となる情報のみを恣意的に選択しないこと、④直接比較することが科学的に適切ではない場合はその旨及びその理由等も提供するなど、正確な理解を促すために必要な情報を提供すること―の全ての要件を満たすことを求めた。

また、情報提供に際しては、「販売情報提供活動の一環である以上、本ガイドラインや医薬品等適正広告基準の遵守が前提」であることも明記した。

◎一覧表は「患者背景の異なる臨床試験、科学的に公平と言えず」 出典明記などの対応を

そのうえで、実際に医師や薬剤師から比較情報の求めがある場面にわけて、考え方を整理した。

有効性の比較情報、特に医師や薬剤師などからのニーズが高い、有効性を比較した「一覧表」についても要件は満たせば情報提供は可能とした。ただし、「患者背景等の異なる臨床試験の成績を調整することなく比較すること等、単に比較した情報を提供することが科学的に公平な比較とは言えない場合がある」として、「情報提供にあたっては、本ガイドラインに基づき、比較情報の出典を明らかにする等の対応が必要」とした。また、「主要評価項目、副次評価項目等の位置付けを明確にする必要がある」ともした。

◎禁忌や使用上の注意、相互作用、副作用など 安全性の全体像示すこと求める

副作用の比較情報についても要件を満たせば、提供可能とした。例えば、「自社製品と他社製品との禁忌、特定の使用上の注意事項、相互作用、特定の副作用や特定の背景についての副作用について比較情報を求められた場合」も可能となる。

ただし、「患者背景等の異なる臨床試験の成績を調整することなく比較すること等、単に比較した情報を提供することが科学的に公平な比較とは言えない場合があることから、情報提供にあたっては、本ガイドラインに基づき、比較情報の出典を明らかにする等の対応が必要である」と明記した。また、「特定の種類の副作用を示すだけでなく、安全性(副作用等)の全体像を示す必要があること」とした。

◎学会情報の提供「エビデンスが十分に確立されているとは言えないことの明確な説明」求める

比較に際し、添付文書やインタビューフォームに記載の内容、治療ガイドラインの内容を提供することは「差し支えない」とした。

「文献等にはなっていないが学会発表されている内容の情報提供」については、「文献等にはなっていない学会発表であることのみをもって、提供不可とはならない」としたが、「学会発表は実質査読がなく、エビデンスが十分に確立されているとは言えないため、文献等にはなっていない学会発表であること、エビデンスが十分に確立されているとは言えないことを明確に説明した上で情報提供すること」を求める。「切替用量についての情報を求められた場合、文献等にはなっていないが学会発表されている」場合を例示した。学会発表での適応外についての情報もGLを満たせば提供可能とした。

このほか、薬価の比較についてはGLの対象外としたが、「販売情報提供活動の一環である以上、本ガイドラインや医薬品等適正広告基準の遵守が前提。情報提供にあたっては、医師又は薬剤師の誤認を招かない公平な比較情報とすること」を求めた。

◎治療GLの未承認・適応外情報「未承認に関する情報が含まれている」と明確に伝達を

未承認薬・適応外についての情報提供については、「自社製品の適応外使用に関する情報を求められた時に、その場で情報提供を行うことをもって不可となるものではない」と明記。ただし、通常の販売情報提供活動とは切り分けることや、情報提供先を要求者に限定するなどの対応を求めた。治療ガイドラインに盛り込まれている適応外薬や国内では認められていない用法・用量、国内未承認薬の情報などについても、要件を満たせば可能とした。ただし、「未承認薬に関する情報が含まれることを明確に伝えた」うえで、GLを満たせば提供することは「差し支えない」とした。

適応外で医薬品を使用した場合における保険診療可否に関する情報を求められた場合、当該医薬品について、厚労省のウェブサイト「公知申請に係る事前評価が終了した適応外薬の保険適用について」に掲載されていることや、社会保険診療報酬支払基金のウェブサイト「審査情報提供事例(薬剤)」に掲載されていることを情報提供することも可能とした。

◎医師や薬剤師の求めがない場合 適正使用や安定供給情報などは該当せず

このほか、「自社製品と他社製品との比較情報について、医師又は薬剤師からの求めがない限り提供が認められないことを意図したものではない」とも明記。医師又は薬剤師からの求めによらず、比較情報の提供を行う場合には、「薬事法における医薬品等の広告該当性について」や「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」を適切に踏まえれば行うことは可能とした。また、比較情報であっても、「医薬品等の適正使用推進や安定供給に係る情報の提供等、顧客を誘引する意図がない情報」は広告に該当しないとして、「行うことは差し支えない」としている。

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