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厚労省・後発品検討会 コンソーシアム構想で製薬業界「補助金、薬価引上げなどの財政措置」要望

公開日時 2024/02/09 04:51
厚労省の「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会」は2月8日、取りまとめに向けて製薬業界からヒアリングを行った。後発品の産業構造を持続可能とする「少量多品目構造を適正化し、生産効率の良い体制」実現に向けた方策として、“コンソーシアム構想”が焦点となっている。日本製薬団体連合会(日薬連)はコンソーシアム実現によるメリットに賛同したうえで、補助金や薬価引上げなど「一定の財政措置」を求めた。このほか、ジェネリック産業の再編を促すことを目的としたコンソーシアム形成については、独占禁止法の「適用除外」とすることを求めた。

厚労省は論点として、後発品産業のあるべき姿について、①全ての企業において製造管理・品質管理体制が整っていること(製造管理・品質管理体制の確保)、②収益と投資の好循環が確立しており、産業として持続可能な形になっていること(持続可能な産業構造)、③それぞれの企業において医薬品を安定的に供給できる体制が保たれるとともに、産業全体として必要に応じて増産を行う余力のある体制が確保できていること(安定供給能力の確保)-を目指すことを提案した。

「持続可能な産業構造」としては、「少量多品目構造を適正化し、生産効率の良い体制」の構築を論点にあげた。この方策として、「品質管理や営業等の面での企業間の連携・協力や役割分担、コンソーシアムや企業統合」をあげ、実現に向け、独占禁止法との関係の整理や委託製造での安定供給について企業間の役割、企業間の連携・協力の取組の推進を論点にあげていた。

◎日薬連 コンソーシアムで屋号の統合、品質管理機能向上、生産余力創出、流通網確保に期待

日薬連は、コンソーシアム構想について、「後発品の開発から製造、品質管理、供給に至るバリューチェーン全体が強靭化され、結果として品目(屋号)の統合、整理が進み、品質管理機能の向上、少量多品種生産の実態の改善や新たな生産余力の創出が期待できる」と評価した。コンソーシアムの実現により、屋号統一による品目数の削減し、生産拠点の整理・統合により「大量少品種生産体制」へ移行することで、生産余力を創出するほか、人材不足が指摘されるQA(品質保証)、QC(品質管理)人材が有効活用され、責任体制が強化されるとメリットを強調。流通面からも安定供給のための流通網確保などに期待を寄せた。ただし、
「すべての領域にフィットするわけではない」と指摘。「参画するか否かの判断もあくまで個別企業に委ねるべき」とした。

そのうえで、コンソーシアム形成を推進するにあたり、「独占禁止法、薬機法上の必要な措置(法改正あるいは柔軟な運用)がなされることが前提」との考えを表明。独禁法については、「ジェネリック産業の再編を促すことを目的としたコンソーシアムの形成や、その後の生産調整行為等については独禁法の適用除外措置を講じる」ことを求めた。

生産拠点の移管は、薬機法上の一部変更申請(一変申請)が必要になることから、「薬事手続きの簡略化もしくは審査期間の短縮」を要望。また、供給が不安定な医薬品の多くは薬価が低く、さらに製造拠点整備のための費用発生がかさむことから、「コンソーシアム形成のために発生する費用に対し、補助金ないしは薬価の引上げという形で補っていただけるのであれば、コンソーシアム形成に積極的な姿勢を示す企業が多くなると考える」とした。

自社で製造設備を持たない“ファブレス”については、自社製造企業で品質問題が起きているなどとして、「製造部門の分離は新薬企業や他業種でも実施されている潮流であり、製造所は製造に特化した専門集団であるべき」との考えを示した。

◎GE薬協 生産効率向上「品目数適正化で大きな効果」 規格揃えの廃止改めて訴え

日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)は、生産効率の向上に向けて、「大きな効果が期待できるのは品目数の適正化」として、「規格揃えルールの廃止・見直しも一定の効果がある」と主張した。「品目数の適正化による、企業のシェアに応じた増産対応が進むにつれて、企業の特性に応じた企業の役割分担が進んでいく」とも見通した。企業間の連携・協力については、「今後は 一層、信頼のおける企業間での協業が推進されていくものと考える」にとどめた。また、「品目統合や有事における供給能力の確保のための生産調整において企業間の連携や協力が推進されるよう独禁法の規制対象外とするよう働きかけをお願いする」とした。

このほか、製造余力の確保について「国の施策としての抜本的な支援(補助金、買取り制度など)が必要」との見解を表明。後発品の市場参入の障壁については、「市場性に委ねるべきで、薬価収載上の参入障壁はこれ以上拡大すべきではない」と主張した。

◎「真面目にモノづくりをしている会社が安心して収益を得られる構造を」

構成員からは、コンソーシアム構想について、「業界内での取り組みを促すためにはどのような仕組みや情報が必要と考えられるか」などの質問が上がったという。業界ヒアリング後には、「真面目にモノづくりをしている会社が安心して収益を得られる構造を作っていくことが必要ではないか」と一定の理解を示す意見も出た。




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