米バイオジェン アデュカヌマブの開発・販売を中止 レケンビや新規AD薬候補にリソース再配分
公開日時 2024/02/02 04:50
米バイオジェンは1月31日、アルツハイマー病治療薬・アデュカヌマブ(一般名)の開発・販売を中止すると発表した。自社のポートフォリオ優先順位付けやアルツハイマー病(AD)領域のリソース配分を検討する中で、アデュカヌマブへの財務的な外部提携を含む戦略的検討を2023年1月から行ってきたが、「戦略的パートナー候補の特定や外部資金調達がかなわなかった」という。同剤が米FDAからフル承認を受けられる時までに起こり得るAD領域における状況の進展なども考慮し、今回の決断に至った。
アデュカヌマブは米国で2021年6月に迅速承認された。迅速承認の条件として課された臨床第4相市販後検証試験(ENVISION試験)を実施していたが、同試験も終了する。日本では21年12月の薬食審・医薬品第一部会で承認可否が審議されたが、申請データなどから同剤の有効性を「明確に判断することは困難」として承認を了承せず、継続審議扱いとなっていた。
バイオジェンは、アデュカヌマブに対するリソースを、エーザイと共同商業化しているAD治療薬・レケンビ(一般名:レカネマブ)や、▽タウを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)である「BIIB080」、▽経口のタウ凝集を阻害する低分子薬「BIIB113」――といった新規機序のAD薬候補の開発進展のために優先的に再配分する。
バイオジェンのクリストファー A. ヴィーバッハーCEOは、「アルツハイマー病領域におけるパイオニアとして、バイオジェンはリソース配分の優先順位を再考し、本疾患に対して複数の病理や患者さんのニーズに対応できるフランチャイズを構築している。私たちはエーザイとともにレケンビの各国での上市を進めていく予定で、同時に私たちのパイプラインにある他の製品候補の開発によりイノベーションを強化していく予定」とコメントした。
アデュカヌマブに関しては、「新薬の開発において、ひとつのブレイクスルーは次なる薬剤の開発を誘発する基盤ともなる。アデュカヌマブはその画期的な最初の一歩であり、新たな薬効群の道を拓き、この領域への投資を再活性化した薬剤だった」とした。