再生医療等製品・ルクスターナが薬価収載、即日発売 眼科疾患で初の遺伝子補充療法
公開日時 2023/08/31 04:50
ノバルティス ファーマの再生医療等製品・ルクスターナ注(一般名:ボレチゲン ネパルボベク)が8月30日に薬価収載され、即日発売した。効能・効果は「両アレル性RPE65遺伝子変異による遺伝性網膜ジストロフィー」。薬価は0.5mL1瓶(希釈液2本付)あたり4960万226円。
ルクスターナは、遺伝性網膜ジストロフィーの原因遺伝子の1つであるRPE65遺伝子の機能欠損を補う遺伝子補充療法で、各眼につき網膜下への1回の注射で治療が完了する。正常なRPE65遺伝子を組み込んだ病原性のないアデノ随伴ウイルス2型(AAV2)を利用し、正常なRPE65タンパク質を長時間安定して発現することで、RPE65遺伝子変異がもたらすRPE65タンパク質の不足によって視覚障害が生じている遺伝性網膜ジストロフィー患者に対して視機能の改善をもたらすことが期待される。
遺伝性網膜ジストロフィーは、進行性の視覚障害を伴う遺伝性網膜疾患の総称で、その原因となる遺伝子は260以上が同定されている。そのうちRPE65遺伝子変異による遺伝性網膜ジストロフィーは、暗いところで目がみえにくくなる夜盲や視野が狭くなる視野狭窄、視力低下が主な症状で、進行すると失明に至ることもある希少疾患。
同社のレオ・リー社長はルクスターナの発売にあたり、「日本における眼科疾患で初めての画期的な遺伝子補充療法『ルクスターナ』を提供できることを大変嬉しく思う」とした上で、「これまで治療法がなかったため、暗がりでの活動が制限されたり、視野が狭く、失明の不安を抱えながら生活している患者さんおよびその家族の人生を変えられる可能性がある。ルクスターナにより明るい未来を提供できることを心より願っている」とコメントしている。