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レカネマブの適応踏まえたPET診断薬の効能追加を了承 新薬6製品も 厚労省・薬食審第一部会

公開日時 2023/08/22 04:50
厚労省の薬食審・医薬品第一部会は8月21日、エーザイの早期アルツハイマー病治療薬・レケンビ点滴静注(一般名:レカネマブ(遺伝子組換え))など6製品の承認を了承した(関連記事はこちら)。あわせて、厚労省から脳内Aβプラークの可視化を目的としたPET画像検査用の放射性診断薬・ビザミル静注およびアミヴィッド静注について、レケンビの適応を考慮した効能追加を承認する方針が報告され、これを了承した。

レケンビの効能・効果は、ADによる軽度認知障害(MCI)及び軽度の認知症(総称して早期AD)の進行抑制となり、早期診断が一つの課題となる。ビザミルおよびアミヴィッドは、ADによるMCIが疑われる患者の脳内Aβプラークの可視化の効能を追加するもの。

レケンビのほかに承認が了承された製品には、ノバルティスファーマの高コレステロール血症に対する初の低分子干渉RNA(siRNA)医薬品レクビオ皮下注(インクリシランナトリウム)などがある。通常、審議品目、報告品目とも9月に正式承認され、新有効成分含有医薬品は11月に薬価収載されている。

【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
フォゼベル錠5mg、同10mg、同20mg、同30mg(テナパノル塩酸塩、協和キリン):「透析中の慢性腎臓病患者における高リン血症の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

ファーストインクラスのNHE3阻害剤であり、腸管からのリン吸収を抑制する。具体的には、腸管で局所的にナトリウムイオン/プロトン交換輸送体3(NHE3)を阻害し、リン吸収の主要経路である傍細胞経路(細胞間隙経路)からのリン吸収を抑制するもの。

用法・用量は「通常、成人には1回5mgを開始用量とし、1日2回、朝食及び夕食直前に経口投与する。以後、症状、血清リン濃度の程度により適宜増減するが、最高用量は1回30 mgとする」―。

コルスバ静注透析用シリンジ17.5μg、同25.0μg、同35.0μg(ジフェリケファリン酢酸塩、丸石製薬):「血液透析患者におけるそう痒症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

κオピオイド受容体作動薬。血液透析患者におけるそう痒症の改善を適応症とした初の静脈注射用製剤。同様の作用機序を有する経口剤であるナルフラフィン塩酸塩とは投与経路が異なる。

丸石製薬は13年4月に米国カラセラピューティクス社から導入し、17年3月からキッセイ薬品と国内で共同開発した。

ジルビスク皮下注16.6mgシリンジ、同23.0mgシリンジ、同32.4mgシリンジ(ジルコプランナトリウム、ユーシービージャパン):「全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

補体第5成分(C5)阻害薬。15個のアミノ酸から構成される大環状ペプチドで、補体C5の不適切な活性化が関与する疾患の治療を意図した治療薬。C5阻害作用を有する初の自己投与可能な皮下注製剤であり、1日1回投与する。

リスティーゴ皮下注280mg(ロザノリキシズマブ(遺伝子組換え)、ユーシービージャパン):「全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

皮下投与の胎児性Fc受容体(FcRn)を標的とするヒト化モノクローナル抗体。FcRn を介したIgG抗体のリサイクル経路を阻害し、病原性IgG 自己抗体を含むIgG 濃度を低下させることにより、治療効果を示すと考えられている。

レクビオ皮下注300mgシリンジ(インクリシランナトリウム、ノバルティスファーマ):「家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症。ただし、以下のいずれも満たす場合に限る。・心血管イベントの発現リスクが高い、・HMG-CoA還元酵素阻害剤で効果不十分、又はHMG-CoA還元酵素阻害剤による治療が適さない」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9 型(PCSK9)遺伝子を標的とした低分子干渉リボ核酸(siRNA))。PCSK9の発現を低下させることで、肝細胞表面上の低比重リポタンパク受容体の分解を抑制し、循環血中の低比重リポタンパクコレステロール(LDL-C)を低下させる。初回投与および3ヵ月目の投与後は年2回の投与で済む。

レケンビ点滴静注200mg、同500mg(レカネマブ(遺伝子組換え)、エーザイ):「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。優先審査品目。再審査期間は8年。

新規作用機序の抗Aβプロトフィブリル抗体。強い神経細胞毒性を示すことが報告されているAβプロトフィブリルに選択的に結合し、ミクログリアによる食作用を介してこれを除去することにより、早期AD患者におけるADの疾患進行による臨床状態の悪化を抑制する。

用法・用量は「通常、10 mg/kgを、2週間に1回、約1時間かけて点滴静注する」。海外では、米国で23年7月に正式承認された。

【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

ロミプレート皮下注250μg調製用(ロミプロスチム(遺伝子組換え)、協和キリン):「再生不良性貧血」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(2025年4月17日まで)。

トロンボポエチン受容体作動薬。既承認適応に「既存治療で効果不十分な再生不良性貧血」があるが、今回は「既存治療で効果不十分な」が削除される。

ジアグノグリーン注射用25mg(インドシアニングリーン、第一三共):「肝外胆管の描出」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。事前評価済公知申請。

肝・循環機能検査用薬。赤外光で励起され蛍光を発する性質を有しており、投与後、蛍光像を撮影することにより血管及び組織の観察が可能となる。

ソル・メドロール静注用40mg、同125mg、同500mg、同1000mg(メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム、ファイザー):「川崎病の急性期(重症であり、冠動脈障害の発生の危険がある場合)」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。事前評価済公知申請。

川崎病は、乳幼児に好発する原因不明の血管炎症候群。本剤は、水溶性の副腎皮質ホルモン剤であり、免疫抑制作用および抗炎症作用によって血管炎を鎮静化させる。

ビザミル静注(フルテメタモル(18F)、日本メジフィジックス):「アルツハイマー病による軽度認知障害又は認知症が疑われる患者の脳内アミロイドベータプラークの可視化」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は残余(2025年9月26日まで)。
アミヴィッド静注(フロルベタピル(18F)、PDRファーマ):「アルツハイマー病による軽度認知障害又は認知症が疑われる患者の脳内アミロイドベータプラークの可視化」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は残余(2024年12月18日まで)。


いずれもアミロイド PET 検査用イメージング剤。いずれも現在の効能・効果は、「アルツハイマー型認知症が疑われる認知機能障害を有する患者の脳内アミロイドベータプラークの可視化」で、保険未適用となっている。今回ADによるMCIが疑われる患者の脳内Aβプラークの可視化を追加するもの。レケンビ点滴静注の診断補助にも使えるようにする。

エンタイビオ皮下注108mgペン、同108mgシリンジ(ベドリズマブ(遺伝子組換え)、武田薬品):「中等症から重症の活動期クローン病の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は残余(2029年3月26日まで)。

ヒト化抗ヒトα4β7インテグリンモノクローナル抗体。皮下注製剤の効能・効果は「中等症から重症の潰瘍性大腸炎の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」となっており、今回、クローン病の維持療法を追加する。
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