4月のMR活動等による製品想起ランキング マンジャロが2位にランクイン、医師1万7800人が想起
公開日時 2023/06/21 04:51
2023年4月に「MR活動」や「講演会」といったプロモーション系情報チャネルで想起された製品ランキングで、新規の2型糖尿病治療薬・マンジャロ(日本イーライリリー/田辺三菱製薬)が一気に2位にランクインし、全国の医師1万7800人(拡大推計)に想起されたことがわかった。チャネル別では、MRによるプロモーション活動で医師1万人超が想起したことも確認できた。同剤は4月18日に発売し、14日間の投薬日数制限があるものの、医師の関心の高さも相まって発売月から大きなインパクトを残したといえそうだ。
この調査はインテージヘルスケアが提供する医師約1万人を対象に情報チャネルごとの製品想起状況などをトラッキングする「SOC(=Share of Channels)」によるもの。SOCは、主に「MR活動」、「講演会(Web含む)」、「eマーケティング」で構成するプロモーション系チャネルによる製品想起と、主に「医師の使用感評価」、「患者の声」、「学会ガイドライン」といったプッシュ型ではないノンプロモーション系チャネルでの製品想起状況が把握できる。同調査は1月、4月、7月、10月に実施している。
今回はプロモーション系チャネルの23年4月の調査結果を見てみた。
プロモーション系チャネルによってマンジャロを想起した医師数は、1位の慢性心不全・高血圧症治療薬・エンレスト(ノバルティスファーマ/大塚製薬)と僅差だった。想起医師数を1ケタまで見てみると、エンレストの想起医師数は1万7892人、マンジャロは1万7885人で、わずか7人差だった。
◎「MR活動」「eマーケ」とも一気に1位
マンジャロについて詳細に見てみる。前回1月調査でのプロモーション系チャネルによる想起医師数は5100人(100人未満切捨て、以下同)で、今回4月調査では約1万2700人伸びた。チャネル別では、「MR活動」で約7500人増の1万800人に想起されていた。つまり、同剤を想起した医師の6割が「MR活動」がきっかけだったということになる。「MR活動」による想起医師数ランキングは前回7位から今回1位となった。
ここで全国6エリア別に「MR活動」による想起医師数ランキングを見てみると、北海道・東北、関東、中国・四国、九州――の4エリアで1位、中部と近畿の2エリアは2位だった。全国津々浦々でMRによるプロモーションが活発に行われ、医師の記憶に残る活動となったようだ。
「MR活動」以外のプロモーション系チャネルでは、「eマーケ」で今回4000人に想起され、このチャネル内での順位は1位となった。「講演会」では今回2900人に想起され、順位は3位だった。
マンジャロはGIP/GLP-1受容体作動薬に分類される2型糖尿病治療薬。GIP及びGLP-1はともに血糖管理に関与するインクレチンホルモンで、同剤はGIP受容体及びGLP-1受容体に対するアゴニスト作用を有する初の薬剤となる。膵β細胞のこれらの受容体と結合することでグルコース依存的にインスリン分泌を促進させることなどにより、血糖を低下させると考えられている。中医協資料によると、同剤のピーク時売上予想は367億円で、大型化が期待されている。
マンジャロは日本で、製造販売承認は日本イーライリリーが有し、販売・流通は田辺三菱製薬が担う。情報提供活動は両社共同で展開している。日本イーライリリーは本誌取材に、田辺三菱製薬との情報提供先のすみ分けについて、「販売戦略に関わる」として非開示としたが、今回のSOCデータからは全国でインパクトを残しており、うまく機能しているといえそうだ。
4月のプロモーション系チャネルによる製品想起トップ10製品と推計想起医師数(100人未満切捨て)は以下の通り。
1位 エンレスト 想起医師数1万7800人
2位 マンジャロ 想起医師数1万7800人
3位 フォシーガ 想起医師数1万2800人
4位 リベルサス 想起医師数1万600人
5位 ジャディアンス 想起医師数1万300人
6位 ツイミーグ 想起医師数9300人
7位 ケレンディア 想起医師数6100人
8位 シルガード 想起医師数5800人
9位 オスタバロ 想起医師数5400人
10位 ビラノア 想起医師数5300人
*1位、2位は100人未満の想起医師数でランキングした
ミクスでは1月、4月、7月、10月のSOCデータを用いて、ミクスOnlineの会員向けに全国及びエリア別にチャネル別の製品想起ランキングトップ10を公開している(連載タイトル
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