三菱ケミカルグループ Muse細胞を用いた再生医療等製品「CL2020」の開発中止
公開日時 2023/02/15 04:50
三菱ケミカルグループは2月14日、Muse細胞を用いた再生医療等製品「CL2020」(開発コード)の開発を中止すると発表した。傘下の生命科学インスティチュートが2015年からCL2020の研究開発を進めていたが、最新の臨床開発状況や事業化までのタイムライン、今後の医薬品事業戦略などを総合的かつ慎重に検討した結果、開発中止を決定した。生命科学インスティチュートの今後については、「組織再編の必要性を含め、詳細は検討中」(三菱ケミカルグループ広報部)としている。
Muse 細胞は、生体内の間葉系組織内に存在する自然の幹細胞。そのため腫瘍化の懸念が少なく、目的とする細胞に分化誘導する必要がない。そのまま静脈内に投与するだけで傷害部位に遊走、集積し、生着して組織を修復するという特長を持つとされる。2010 年に東北大学の出澤真理教授らのグループにより発見された。
生命科学インスティチュートの開発品はCL2020のみで、急性心筋梗塞、脳梗塞、表皮水疱症、脊髄損傷、筋萎縮性側索硬化症、新型コロナウイルス感染症に伴う急性呼吸窮迫症候群――を対象疾患に開発を進めていた。
当初、20年頃の条件付き早期承認を目指して開発したが、21年12月に三菱グループとして開発方針を変更。条件付き早期承認を目指した開発では国内のみの展開となるため、将来の海外展開を見据えて臨床試験の規模を拡大し、正式な承認取得を目指すことにした。開発方針の変更後は30年度以降の収益化を見込んでいた。しかし、23年度を初年度とする3カ年の次期中期経営計画の策定作業の中でポートフォリオの選択と集中の検討を進めたところ、結果としてCL2020の開発中止が決断された。