眼科領域の医療用薬市場 24年底にV字回復、30年に3000億円超に 加齢黄斑変性患者の増加などで
公開日時 2022/10/26 04:52
市場調査会社の富士経済は、国内の眼科領域の医療用医薬品市場規模が2030年に再び3000億円を超えるとの市場予測をまとめた。市場は21年に過去最高となる3027億円まで拡大したが、加齢黄斑変性等治療薬・ルセンティスのバイオシミラー(BS)が21年12月に登場して市場は縮小傾向に入った。今後、加齢黄斑変性等治療薬として最も売上が大きいアイリーアにもBSが参入して市場はより小さくなるが、▽高齢化に伴う加齢黄斑変性患者の増加、▽加齢黄斑変性などに対する新薬バビースモの伸長、▽25年頃の登場が見込まれる近視治療薬――などにより、市場は24年を底にV字回復し、30年に3094億円と過去最大になると予測した。
文末の関連ファイルに、眼科領域の医療用医薬品市場の20年から30年の市場規模の年次推移の資料を掲載しました
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この市場予測は、富士経済の専門調査員が参入企業や関連企業・団体などへのヒアリングのほか、関連文献調査、社内データベースを併用してまとめたもの。調査期間は22年9月。
◎22年、23年はそれぞれ前年比4%程度縮小
眼科領域の医療用薬市場は、22年、23年と前年比4%程度縮小すると予測された。市場規模は21年3027億円、22年2903億円、23年2780億円――と推移すると分析。24年は、23年とほぼ横ばいながらも2771億円になるとした。
これは千寿製薬が製造販売するルセンティスBSが好調なことに加え、アイリーアBSの登場が理由となる。なお、富士経済は、バイエル薬品販売が承認を取得しているアイリーアのバイオAG(オーソライズドジェネリック)は「25年に発売される」と分析している。
◎25年以降、市場は毎年1~2%台で成長
25年以降は、市場は毎年1~2%台で伸び、30年は前年比3%程度伸びると分析した。市場規模は25年に2800億円台、28年に2900億円台にのり、29年2991億円、30年3094億円になると予測している。
市場拡大の最大の理由は高齢化に伴う加齢黄斑変性患者の増加となる。これに加え、中外製薬のバビースモの伸長のほか、若年層でリスクが高まっている近眼に対する新薬が25年、老眼に対する新薬は30年に登場することが期待されるとして、市場は再び拡大基調になると分析した。近眼の治療薬は参天製薬のアトロピン硫酸塩が7月時点で臨床第2/3相試験段階にあり、老眼でも参天製薬のウルソデオキシコール酸が4月に第1相試験が終了している。