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DTx国内市場推計 30年に最大80~100億円 制度整備や医師・患者の理解促進が重要 IQVIA

公開日時 2025/04/22 04:51
IQVIAジャパンは4月21日、日本におけるDTx(デジタル・セラピューティクス)の市場規模が2030年に最大80~100億円になるとの分析結果を発表した。25年の市場規模は「10億円程度」のため今後5年間で市場は8倍以上に拡大することになる。ただ、この市場分析は、▽薬事承認・保険償還制度の整備、▽医師や患者のDTxに対する理解促進――が「十分に進んだ場合」のベストケースであり、DTxに係る制度や理解が現状のままの場合は30年に30億円台にとどまる可能性があるとも指摘した。

同社マネジメントコンサルティングの加藤雄志マネージャーは同日のメディアセミナーで、ベストケースのシナリオとなるための前提条件として薬事承認・保険償還制度の整備充実を挙げるとともに、「医師や医療機関がインセンティブをもって使う環境が整い、患者さんが治療においてDTxを想起したり、心理的ハードルが下がったりすることが要因になる」と強調した。

同社の推計では、25年時点のDTxの市場規模は10億円程度。現状の延長線上では30年には30~35億円になるとした。一方で、評価基準の明確化、薬事承認要件(臨床試験ハードル)の緩和、個人情報集積方法の構築といった薬事承認関係や、償還基準の明確化(保険点数の評価基準含む)など保険償還関係の整備が十分に進み、DTxに対する理解促進・利用患者の拡大といった条件も満たした場合、30年には最大80~100億円の市場規模が見込めると分析した。

◎承認済みDTx製品 国内5製品 グローバル140製品

同社によると、日本で承認されたDTx製品は現在、CureAppの▽ニコチン依存症の喫煙者に対する禁煙治療補助アプリ、▽高血圧治療補助アプリ、▽アルコール依存症患者の飲酒量低減治療補助アプリ――、サスメドの不眠障害用アプリ、塩野義製薬の小児期ADHD治療補助アプリの計5製品ある。サスメドの不眠障害用アプリは保険収載手続きのため一変申請中。また、開発中のDTxは10製品以上あり、製薬企業やDTx企業だけでなく、医療機関やアカデミアも開発に参画している。

ただ、世界に目を向けると、グローバルで承認済みの処方箋DTx製品数は21年の25製品から24年には140製品へと5.6倍に増加。開発品を含む疾患領域別の製品割合では、精神疾患が40%と最も多く、中枢神経系が22%、心血管疾患が7%と続いた。国別ではドイツ、米国、英国で承認された製品が多い傾向にあり、これらの国の特徴として、ドイツのFast Track制度による迅速承認など、開発側にメリットのある制度が構築されていることがあるようだ。

加藤氏は、日本の承認済みDTx製品がグローバルと比べて極めて少ない点を指摘したうえで、DTxに係る制度面などの整備が進まなければ、「医薬品で言われるドラッグ・ラグ/ロスがデジタルの世界でも起きかねない」と警鐘も鳴らした。
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