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1回接種型新型コロナワクチン・ジェコビデンなど6製品の承認了承 薬食審・第二部会

公開日時 2022/05/31 04:51
厚生労働省の薬食審医薬品第二部会は5月30日、ヤンセンファーマの1回接種型の新型コロナワクチン・ジェコビデン筋注など6製品の承認を了承した。ジェコビデンの接種対象者は18歳以上で、初回免疫と追加免疫のいずれにも接種が可能となる。追加免疫については、▽同ワクチンの初回接種から少なくとも2か月経過した後に2回目の接種を行う、▽いわゆる交互接種については、「有効性及び安全性は評価されていない」――旨を添付文書に記載する。

厚労省は部会後の記者説明会で、ジェコビデンは現時点では特例的に全額公費負担で使用するワクチンとしては位置づけず、国による買取りも行わない方針を示した。「臨時接種に用いるワクチンは確保できているため」としている。

ジェコビデンは、遺伝子組換えアデノウイルスベクターワクチン。ジェコビデンの特徴のひとつに発熱(38度以上)の副反応の頻度が少ないことがある。初回免疫に関する米国など8か国での臨床試験で発熱の副反応は9.0%(302/3356)、追加免疫に関する米国など10カ国での臨床試験で発熱の副反応は2.4%(38/1559)だった。

◎オルミエントの円形脱毛症の効能追加 HIVに対する国内初の注射剤レジメンも

このほか、日本イーライリリーのオルミエント錠への円形脱毛症の効能追加も承認が了承された。また、HIV‐1感染症に対して、ヴィーブヘルスケアのボカブリア水懸筋注と同錠(同カボテグラビルナトリウム)、ヤンセンファーマのリカムビス水懸筋注(同リルピビリン)の併用療法も承認が了承された。正式承認されれば、HIVに対する国内初の注射剤レジメンとなる。

【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)

キュビシン静注用350mg(ダプトマイシン、MSD):「敗血症、深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量医薬品。再審査期間は4年。

環状リポペプチド系抗生物質。グラム陽性球菌の細胞膜に結合し、細胞機能不全を引き起こして細菌を死滅させる他の抗MRSA薬とは異なる作用機序で、MRSAに対して有効性を示す。治療薬物モニタリング(TDM)を行なう必要がなく、1日1回の点滴静注で利便性が高い。今回のMRSAに対する小児用量は、1歳以上7歳未満、7歳以上12歳未満、12歳以上18歳未満のそれぞれで体重当たりの投与量などが定められている。

ボカブリア水懸筋注400mg、同600mg(カボテグラビル、ヴィーブヘルスケア)
ボカブリア錠30mg(カボテグラビルナトリウム、ヴィーブヘルスケア)
リカムビス水懸筋注600mg、同900mg(リルピビリン、ヤンセンファーマ)
:「HIV-1感染症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

カボテグラビルはインテグラーゼ阻害薬(INSTI)。リルピビリンは非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)。カボテグラビルの筋注製剤とカボテグラビルナトリウムの錠剤、リルピビリンの筋注製剤とリルピビリン塩酸塩の錠剤を用いて、経口剤投与による忍容性を確認後、筋注剤を投与する2剤組み合わせで併用する抗レトロウイルス療法に用いる。

具体的には、リルピビリン塩酸塩(錠剤)を併用して、通常、成人にはカボテグラビルナトリウムを1回1錠、1日1回経口投与する。そして、1カ月間隔または2カ月間隔で、カボテグラビル及びリルピビリンの筋注剤2剤を臀部に注射して用いる。正式承認されれば、HIVに対する国内初の注射剤レジメンとなる。

オルミエント錠2mg、同4mg(バリシチニブ、日本イーライリリー):「円形脱毛症(ただし、脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る)」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は4年。

選択的JAK1及びJAK2阻害薬。円形脱毛症(AA)は、後天性に類円系の脱毛班を生じる疾患で、重症例では増悪・軽快を繰り返しながら脱毛斑が拡大することが多く、免疫特権を失った毛包を標的とした自己免疫反応による慢性の臓器特異的自己免疫疾患と考えられている。

同剤のAAに対する用法・用量は、「通常、成人にはバリシチニブとして4mgを1日1回経口投与して用いる。なお、患者の状態に応じて2mgに減量すること」となり、既承認の関節リウマチ、アトピー性皮膚炎と同様となる。

AAの治療は現在、重症度や症状に応じてステロイド外用療法、ステロイド局所注射療法、局所免疫療法、ステロイド内服などが用いられているが、局所免疫療法は保険適応外であり接触皮膚炎等の副作用の懸念があること、経口ステロイドは休薬後の再発率が高く長期的な予後の改善に関するエビデンスが限られていることなど、脱毛面積が広範囲な重症AAに対する治療選択肢は限られている。

なお、同剤は米国FDAからAAに対するブレークスルーセラピーとして指定を受けている。

ジェセリ錠40mg(ピミテスピブ、大鵬薬品):「がん化学療法後に増悪した消化管間質腫瘍」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

経口HSP(Heat Shock Protein)90阻害薬。がん細胞や腫瘍組織に多く発現するタンパク質・HSP90を阻害することで、がんの増殖や生存などに関与するKIT、PDGFRA、HER2やEGFRなどのタンパクを不安定化し、減少させることで抗腫瘍効果を示すとされる。

同剤の用法・用量は、「通常、成人にはピミテスピブとして1日1回160mgを空腹時に投与する。5 日間連続経口投与したのち2日間休薬し、これを繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する」。

消化管間質腫瘍(GIST)は胃や小腸などの消化管の壁にでき、転移、再発を起こす悪性腫瘍の一種で、国内の年間罹患数は約1500~2500人と推定される希少がんの一つとなっている。多くががんの増殖や生存などに関与するKIT、PDGFRA遺伝子に変異を有しているとされる。

ジェコビデン筋注(コロナウイルス(SARSCoV-2)ワクチン(遺伝子組換えアデノウイルスベクター)、ヤンセンファーマ):「SARS-CoV-2 による感染症の予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。優先審査品目。再審査期間は8年。

ウイルスベクターワクチン。18 歳以上の者を接種対象者に、初回免疫や追加免疫に用いる1回接種型の新型コロナウイルス感染症予防ワクチン。追加免疫に用いる場合は、本剤の初回接種から少なくとも2カ月経過した後に2回目の接種を行うことができる。初回免疫に他のワクチンを接種し、追加免疫にジェコビデンを用いる交互接種に関しては、「有効性及び安全性は評価されていない」との旨が添付文書に記載される。

コミナティなどの先行して使用されている新型コロナワクチンは、国の買い取りによる全額公費負担で用いられている。ただ、厚労省は現時点ではジェコビデンの買い取りはせず、全額公費負担の対象にもしない方針。理由は、「臨時接種に用いるワクチンは確保できているため」としている。

ヘムライブラ皮下注30mg、同60mg、同90mg、同105mg、同150mg(エミシズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「後天性血友病A 患者における出血傾向の抑制」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

中外独自の抗体エンジニアリング技術を用いて創製されたバイスペシフィック抗体で、インヒビターの影響を受けずに出血抑制効果を発揮するよう設計されている。後天性血友病Aは国の指定難病で、後天的に血液凝固第VIII因子に対する阻害物質(インヒビター)が出現し、その結果、第VIII因子活性が著しく低下して突発的な皮下出血や筋肉内出血などの出血症状を呈する疾患。重篤な出血も稀ではない。

【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

マヴィレット配合錠、同配合顆粒小児用(グレカプレビル水和物/ピブレンタスビル、アッヴィ):「C型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量・剤形追加に係る医薬品。再審査期間は残余期間(2025年9月26日まで)。

3歳以上12歳未満で45kg以上の小児に使えるようにする。正式承認されれば、3歳以上12歳未満の小児C型慢性肝炎に適応を有する、国内初の直接作用型抗ウイルス剤(DAA)となる。同剤は17年に成人、19年に12歳以上の小児のC型慢性肝炎治療薬として承認済み。

ジクトルテープ75mg(ジクロフェナクナトリウム、久光製薬):「腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余期間(2025年3月22日まで)。

フェニル酢酸系の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)。久光製薬のTDDS(経皮薬物送達システム)技術を用いて経皮吸収性を向上させ、3枚貼付時のジクロフェナクの全身曝露量が既承認の徐放性カプセル剤(ナボールSRカプセル)と同程度になるよう製剤設計された全身投与型経皮吸収製剤。現在は、「各種がんにおける鎮痛」を効能・効果としている。

ジクアスLX点眼液3%(ジクアホソルナトリウム、参天製薬):「ドライアイ」を効能・効果とする新剤形医薬品。再審査期間なし。

同じ成分で既承認のジクアス点眼液3%はドライアイ治療の選択肢として推奨されている。ただ、1回1滴、1日6回点眼と、点眼回数が多い。そこでジクアスを製剤改良し、効果と安全性はそのままに、点眼回数を1回1滴、1日3回点眼に低減させたものがジクアスLX点眼液となる。

アバスチン点滴静注用100mg/4mL、同400mg/16mL(ベバシズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「卵巣がん」を効能・効果とする新用量医薬品。事前評価済公知申請。再審査期間なし。

卵巣がんに対して、「他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはベバシズマブ(遺伝子組換え)として1回10mg/kg(体重)を2週間間隔又は1回15mg/kg(体重)を3週間間隔で点滴静脈内注射する。なお、患者の状態により投与間隔は適宜延長すること」との新用量を追加する。

ノイトロジン注50μg、同100μg、同250μg(レノグラスチム(遺伝子組換え)、中外製薬):「再発又は難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。事前評価済公知申請。再審査期間なし。
グラン注射液75、同シリンジ75、同注射液150、同シリンジ150、同注射液M300、同シリンジM300(フィルグラスチム(遺伝子組換え)、協和キリン):「再発又は難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。事前評価済公知申請。再審査期間なし。
フルダラ静注用50mg(フルダラビンリン酸エステル、サノフィ):「再発又は難治性の急性骨髄性白血病」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。事前評価済公知申請。再審査期間なし。

再発又は難治性の急性骨髄性白血病に対し、ノイトロジンとフルダラ、グランとフルダラをそれぞれ併用して使えることを追加する。
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