サンバイオのSB623 条件付き承認も出荷不可、品質データ収集して部会評価が必要 薬事審・部会
公開日時 2024/06/20 04:51
厚労省の薬事審議会再生医療等製品・生物由来技術部会は6月19日、サンバイオの再生医療等製品・アクーゴ脳内移植用注(一般的名称:バンデフィテムセル、開発コード:SB623)の製造販売承認の可否を審議し、承認取得後に治験製品と本品との品質の同等性/同質性に関するデータを収集し、改めて同部会の評価を受けるまで出荷することはできないとの条件を付した上で、承認を了承した。同等性/同質性の確認が困難として、継続審議となった前回3月25日の部会後に、同社から追加データが提出されたが、同省担当者によると、「同等性/同質性が完全に確認できたというところには至っていない」という。
その上で、「完全に確認できない」まま承認了承となった理由について、「適応対象となる疾患(外傷性脳損傷に伴う慢性期の運動麻痺の改善)に対して、現時点で代替の治療法はなく、リハビリテーションをするしかないということがあり、本品が唯一の治療方法になる可能性があるということを鑑み、承認後にデータを集めて、データを提出し直して、改めて本部会において議論するということを織り込み済みであれば、承認して差し支えないだろうという審議会の判断を頂いた」と説明した。
◎今後の再提出データ 「承認後に取らせた方がサンバイオ社の実行可能性が高い」
また、承認しても直ちに出荷がなされることはないという異例の措置を取った理由について、「承認をする前にデータを集めるタスクを課してもいいという判断もあったかと思うが、迅速に患者さんの元に届けるという目的を達成するために、どういった方策が取れるかというところは厚労省としても、PMDAとしてもいろんな方策を考えた」とした。その上で、「データを取らなければいけないというタスクが変わらない中、承認前に取らせるのが良いのか、それとも承認後に取らせるのが良いのか、を比べた時に、承認後に取らせた方が、サンバイオ社としても実行可能性が高いというふうに判断した」と説明した。
具体的な同等性/同質性の評価に係る承認条件は、「本品の製造実績が限られていることを踏まえ、あらかじめ定めた計画に基づき、本品の品質に関する情報を速やかに収集するとともに、治験製品と本品との品質の同等性/同質性を評価し、結果を報告すること。また、当該結果を踏まえ、必要な承認事項一部変更承認申請を行うとともに、当該申請が承認されるまでの間、本品の出荷を行わないこと」となっている。
条件及び期限付き承認への妥当性は「該当」と判断され、承認期限は7年間。移植する全ての患者を対象に▽製造販売後臨床試験、▽使用成績調査――を実施し、製造販売後承認条件評価を行う。