キッセイ薬品 脊髄小脳変性症治療薬ロバチレリンを承認申請
公開日時 2021/12/24 04:50
キッセイ薬品は12月22日、脊髄小脳変性症治療薬ロバチレリン(一般名、開発コード:KPS-0373)を日本で承認申請したと発表した。脊髄小脳変性症患者の運動失調の改善が期待されている。
脊髄小脳変性症は国の指定難病で、小脳または脊髄が変性することで運動失調などの症状が現れる原因不明の神経変性疾患の総称のこと。不可逆的な神経障害が徐々に進行するが、現在の治療法は諸症状に対する対症療法に留まり、治療満足度、薬剤貢献度は非常に低い状況にある。国内で3万人以上の患者が認定されている。
同社は、2つの第3相臨床試験を実施したが、いずれの試験でも、主要評価項目である運動失調を評価するためのSARA合計スコアの変化量は、プラセボ群と比べて統計学的に有意な改善を認めなかった。一方で、2つめの第3相臨床試験で、より重症度が高い患者層を対象とした併合解析(事後解析)を行った結果、SARA合計スコア変化量は、プラセボ群と比べて統計学的に有意な改善を認めた。
安全性については、ロバチレリン投与群で高頻度(5%以上)に認められた有害事象は上咽頭炎、悪心、体重減少、挫傷で、多くは軽度と判定された。
同社は、「ロバチレリンは、これまでに実施した2つの臨床試験ならびに併合解析の結果から、国際的に用いられているSARAスコアにより、脊髄小脳変性症における運動失調に対して初めて改善効果が検証された薬剤であると判断し、製造販売承認申請を行った」としている。
ロバチレリンは塩野義製薬が創製した甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)誘導体。中枢神経系に分布するTRH受容体に結合して、ドパミンなどのモノアミンやアセチルコリンなどの神経伝達の遊離を促進することで神経系を活性化させる作用がある。キッセイ薬品は塩野義から国内の開発・販売権を取得し、脊髄小脳変性症治療薬として開発した。