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日医・中川会長 22年度診療報酬改定「プラス改定でなければ医療が壊れる」 与党議員の動きに手応えも

公開日時 2021/12/16 04:53
日本医師会の中川俊男会長は12月15日の定例会見で、「診療報酬本体のマイナス改定はあり得ない。絶対にプラス改定にしなければ全国の医療が壊れてしまう」と危機感を露わにした。2022年度診療報酬改定の改定率をめぐる政府・与党間の議論が大詰めを迎えている。中川会長は、「ポストコロナの医療提供体制に道筋をつけるためには次の診療報酬改定は絶対に本体プラスでなければならないという理解は、かなり拡がってきていると思う。日に日に感触は良くなってきている」と語った。また、財務省や財政制度等審議会(財政審)がかかりつけ医の制度化を求めていることに触れ、「医療費抑制のための手段とするものではなく、機能に見合った評価に進化させていくべき」と指摘した。

◎実質的な診療報酬本体部分の財源が焦点「0.5%ちょっとでは改定財源が見当たらない」

「躊躇なくプラス改定とすべきだ」-。中川会長はこの日もこう主張した。22年度診療報酬改定をめぐっては、看護職の処遇改善や不妊治療の保険適用で0.5%程度の財源確保の目途がつくなかで、それ以外の実質的な診療報酬本体(通常改定分)の改定財源の行方に焦点が移っている。中川会長が主張するのも、実質的な診療報酬本体(通常改定分)のプラス改定だ。「0.5%ちょっとで終わるのでは(本体部分の)改定財源が見当たらなくなる。大幅な本体プラス改定が必要だと思っているし、そういう要請を(政府に)している」と述べた。

中川会長は会見で、自公両党の動きが活発化していると説明。自民党の国民医療を守る議員の会は、「大幅なプラス改定」を提言書に明記したほか、今週14日の自民党社会保障制度調査会・医療委員会では、複数議員から絶対に本体プラス改定が必要との認識が示されている。中川会長は、「まさに時宜を得た発言であり、我々にとっては百人力であり、ものすごく心強く思っている」と述べ、与党議員のバックアップが政府との最終調整の追い風になると期待感を込めた。

◎岸田首相の国会答弁を受け「医療者全体に対してもしっかり財政出動すべき」 中川会長


中川会長はまた、13日の衆院予算委員会で岸田文雄首相が、コロナ禍で必要な財政出動を躊躇なく行うと答弁したことに触れ、「危機を乗り越えるためにも医療に対してもしっかり財政出動すべき」と強調した。政府として看護職の処遇改善が掲げられているが、「医療は各職種のチームで成り立っている」との考えを示したうえで、「タスクシェアが推進されようとしているなか、看護職のみならず多くの職種が従来の業務以外にも医療機関内で新たな業務を担おうとしている」として、チーム医療を評価することが必要との考えを強調した。「そのためにも看護職以外の処遇改善以外も含めた大幅なプラス改定が必要だ」と続けた。

中川会長は、「2年近くにわたり、全国の医療機関、医療従事者・関係者は、感染リスクを乗り越えて、風評被害に耐えながら新型コロナと全力で戦ってきた。ワクチン接種にも邁進した。岸田首相が成長と分配を掲げたことに多くの期待を寄せている。これからもコロナとの戦いは続く。決してひるまず戦い続ける。第6波や新たな新興感染症にも、備えを固める覚悟だ。医療従事者の心を折らないでください。令和4年度診療報酬改定は躊躇なく本体プラス改定とすべきだ」と改めて主張した。

◎改定率をめぐる調整は、いよいよ最終局面に


22年度新省報酬改定の「改定率」をめぐる議論は、実質的な診療報酬本体への切り込み圧力が財務省を中心に政府部内にある。中川会長が会見で主張したように、これまでの政府部内や与党関係者との調整を通じ、確かに「日に日に感触は良くなっている」状況にある。ただ、政府が主張する0.5%相当分以外の本体部分をめぐる駆け引きは依然として続いており、いよいよ最終局面を迎える。「本体大幅プラス」を唱える日本医師会など医療関係団体にとって、最後の一押しが重要になりそうだ。


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