自民党・GE議連 提言案で「第3期医療費適正化計画終了までに地域のバラツキを解消」
公開日時 2021/06/03 04:51
自民党の議員連盟「ジェネリック医薬品の将来を考える会」(上川陽子会長)は6月2日、提言案を大筋で了承した。提言案では小林化工と日医工が相次いで行政処分を受けるなかで、「信頼の回復を図ることが最優先の課題」と強調。ポスト80%の後発品の使用促進の新たな数値目標については明記せず、「第3期医療費適正化計画終了までに地域のバラツキを解消する」ことを盛り込んだ。議連では、文言修正などをおこなったうえで早期に提言を取りまとめ、厚労省など関係省庁に働きかける考え。
◎上川会長「新たな数値目標の実現に向けた支援を続けることはできない」 まずは信頼回復を
会議の冒頭で上川会長は、「安定供給と品質確保で力をつけ、海外にも進出していくことを目標にこの間、活動を進めてきた。本来、このタイミングにおいて、80%の目標の後のさらなる使用促進について議論を進めるタイミングだが、実はこの短期間に、ジェネリック医薬品に対する信頼性を揺るがしかねない事件が相次いで生じてしまった」と説明。小林化工や日医工が行政処分を受けるなかで、「大前提が崩れている状況にあり、足元が極めて揺らいでいる。新たな数値目標の実現に向けた支援を続けるというのは議連としてはできないとの認識だ」と述べた。そのうえで、「難しい状況の中ではあるが、しっかりと改善し、その先につなげるような形での提言とさせていただきたい」と話した。
このため、提言案にも具体的な数値目標は明記せず、「第三期医療費適正化計画終了までに地域の使用のバラツキを解消する」との文言を盛り込んだ。後発品の使用促進は都道府県でバラつきがあることが知られているが、「薬剤費の大きい都道府県で一層の薬剤費の適正化を進めるべき」と指摘。「特に地域にあわせて、使用割合の見える化をすることでバラつきを解消し、すべての国民・地域において広く使用されるべき」とした。
なお、第3期医療費適正化計画は23年度を最終年度とする5か年計画。厚労省は、4月27日の経済財政諮問会議の経済・財政一体改革推進委員会「社会保障ワーキンググループ」に、後発品使用促進の新たな目標について「2023年度末までに後発医薬品の数量シェアを、全ての都道府県で80%以上」とする考えを示していた。
◎サプライチェーンの再構築とリスクへの対応
提言では、コロナ禍でサプライチェーンの脆弱性が顕在化するなかで、「医薬品・原薬の国内外におけるサプライチェーンの再構築とリスクへの対応」を柱の一つに掲げた。コロナ禍で、中国やインドなど特定の国に原薬や原材料を依存していることも明らかになり、長期間の欠品が起きている製品もある。こうしたなかで、安定的調達に向けた製薬企業の努力の継続に加え、「包括的な危機管理体制と有事の際の医薬品の供給調整メカニズムの構築に向け、官民挙げて取り組むべき」とした。また、「サステナブルで責任ある医薬品の供給体制の構築」に向け、原薬・原料の製造から含めたサステナブルな医薬品供給の仕組みを国際連携のもとで構築するため、我が国が主導的に対応していくべき」としている。
このほか、製造管理・品質管理に加え、情報提供の信頼性を伴う安定供給に努力している企業が健全な発展と成長を続け、安定確保が持続可能となる「薬価制度と流通の仕組み」にも言及した。
提言は、①医薬品・原薬の国内外におけるサプライチェーンの再構築とリスクへの対応、②サステナブルで責任ある医薬品の供給体制の構築、③安定確保が持続可能となる薬価制度と流通の仕組みの構築、④「第三期医療費適正化計画終了」までに地域の使用のバラツキを解消する―が柱。