大塚製薬 静脈内投与タイプの水利尿薬「OPC-61815」を承認申請
公開日時 2021/03/23 04:49
大塚製薬は3月22日、静脈内投与可能な水利尿薬・トルバプタンリン酸エステルナトリウム(一般名、開発コード:OPC-61815)について、「ループ利尿薬などの他の利尿薬で効果不十分な心不全における体液貯留」を予定適応症に承認申請したと発表した。同剤はトルバプタン(国内製品名:サムスカ)のプロドラッグ注射剤。非臨床試験などから、OPC-61815は静脈内投与後に速やかにトルバプタンへと加水分解され効果を示すことが明らかになっている。
国内第3相臨床試験では、体液貯留を有する心不全患者294人を対象に同剤の有効性と安全性をトルバプタン錠15 mgと比較した。その結果、主要評価項目である最終投与時の体重のベースラインからの変化量で非劣性を示した。安全性に関しても大きな問題はみられなかったとしている。
同社は、「OPC-61815は静脈内投与可能な水利尿薬として、トルバプタンを経口で服用できない体液貯留を有する心不全の患者さんにも新しい治療の選択肢を届けることが期待されている」としている。
トルバプタンは、「水だけを出す利尿薬が欲しい」という医療現場の声を受けて同社が創製した製品。バソプレシン(抗利尿ホルモン)のV2受容体への結合を選択的に阻害することで、尿中から血中への水再吸収を抑制し、ナトリウムなどの電解質の排出に直接の影響を与えずに水分のみを体外へ排出するメカニズムをもつ。
心不全により心臓のポンプ機能が弱まると、十分な量の血液を全身に送れなくなり、血液の滞留(うっ血)が起こり、呼吸困難や倦怠感、むくみなどが生じ、悪化すると命にかかわる。心不全における体液貯留は「心性浮腫」や「うっ血性心不全」ともいわれる。