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2021年度薬価改定 新薬創出等加算品4割 新薬6割、長期収載品9割、後発品8割が対象

公開日時 2020/12/18 04:52
毎年薬価改定の初年度となる2021年度薬価改定の対象範囲が12月17日、固まった。対象品目数は、全品目の69%に当たる1万2180品目。カテゴリー別にみると、長期収載品が最も割合の高い88%。後発品も83%含まれるが、新薬創出等加算品40%(240品目)、新薬59%(1350品目)も対象となる。2016年末に4大臣合意した「薬価制度抜本改革に向けた基本方針」に毎年薬価改定の実現が明記されてから4年。長期収載品に依存するビジネスモデルから脱却するための猶予期間を経て、「国民負担の軽減」を実現する改定が断行される。

◎加藤官房長官、麻生財務相、田村厚労相の3大臣が「毎年薬価改定について」に合意

加藤勝信官房長官、麻生太郎財務相、田村憲久厚労相の3大臣は同日、「毎年薬価改定の実現について」合意した。菅義偉首相は今年10月26日の臨時国会における所信表明演説でも、「各制度の非効率や不公平を正す」必要性を強調。そのなかで、「毎年薬価改定の実現に取り組む」と表明。毎年薬価改定が官邸主導で実施されたことを印象付ける。

3大臣が合意した「毎年薬価改定の実現について」では、改定の対象範囲について、「国民負担軽減の観点からできる限り広くすることが適当である」ことを明記した。平均乖離率8%の0.5倍から0.75倍の中間である0.625倍(乖離率5%)を超える品目を“価格乖離の大きな品目”として、対象範囲とした。

◎「新型コロナウイルス感染症特例」の0.8%分を緩和

一方で、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針2020)」で、新型コロナウイルス感染症による影響を勘案する必要性が指摘されたことを踏まえ、緩和措置も講じた。医薬品卸と医療機関の川下取引で、交渉時期の遅れや、取引期間の短縮化など、イレギュラーな取引状況も指摘された。このため、改定半年後に実施した2018年の薬価調査(7.2%)を0.8%上回ったことを考慮。調整幅の2%だけでなく、「新型コロナウイルス感染症特例」として「一定幅」の0.8%分引き下げ率を緩和する。なお、製薬企業と医薬品卸の間の川上取引は、医療用医薬品の流通改善に関する懇談会(流改懇)」の取りまとめでは、「コロナ禍の影響はさほど大きくなかった」とされている。

厚労省が18日の中医協に示す2021年度薬価改定の骨子案によると、改定後薬価の算出式は、新薬価=(医療機関・薬局への販売価格の加重平均額(税抜きの市場実勢価格)×(1+消費税率)+調整幅+一定幅(調整幅は改定前薬価の2/100、一定幅は0.8/100、※改定薬価(税込み)を上限とする)。

薬剤費の削減額は▲4300億円程度(国費では▲1000億円程度)。

対象品目数は、全品目の69%に当たる1万2180品目。▽新薬1350品目(59%)、うち新薬創出加算品240品目(40%)、▽長期収載品1490品目(88%)、▽後発品8200品目(83%)、▽その他の品目(昭和42年以前収載)1140品目(31%)―。価格の高止まりが指摘される長期収載品にさらなるメスが入る。

製薬業界は、平均乖離率の2倍以上(16%)など、「全ての既収載品目の平均乖離率よりも著しく大きい品目に限定すべき」と主張していた。ただ、乖離率が著しく大きい品目を対象とした改定では、対象の大半が後発品になることから、中医協では支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)が「比較的価格の低い後発品が狙い撃ちの改定になる。こんな歪(いびつ)な改定が妥当なのか」などと指摘していた。乖離率が5%で線引きされたことで、カテゴリーによる偏りのない改定が実施されることになる。

適用するルールについては、焦点となっていた「新薬創出等加算の累積額の控除」は適用を見送られ、消費増税改定と同様に、実勢価改定に連動するルールのみを適用する。基礎的医薬品、最低薬価、新薬創出等加算(加算のみ)、後発品の価格帯についてルールを適用する考えだ。

◎後発品更なる使用促進へ フォーミュラリガイドライン策定も

田村厚労相、麻生財務相の大臣折衝では、「後発品の更なる使用促進」についても決定された。数量シェア80%目標達成後の新たな目標設定や、バイオシミラーで新たな目標設定などが盛り込まれた。数量シェア80%に代わる新たな目標については、浸透状況に地域差があることを踏まえ、「全ての都道府県で、80%目標達成、維持」などが案として浮上している。後発品の使用割合について、公表範囲を都道府県別などだけでなく、医療機関ごとまで拡大することも検討する。データを見える化し、ベンチマークすることで、後発品の使用浸透を推し進めることも検討する。

また、後発品を含めた、医薬品の適正使用に資する「フォーミュラリガイドライン」を策定することも盛り込んだ。適正使用については、医療費の適正化と安全性の重要性が指摘されるなかで、厚生労働科学特別研究事業の研究班などの結果を踏まえて検討を進める。
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