米モデルナ 新型コロナ・ワクチン候補「mRNA-1273」を米FDA・欧EMAに申請
公開日時 2020/12/01 04:52
米・バイオテック企業のモデルナは11月30日、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン候補「mRNA-1273」について同日にも米国FDA、欧州EMAそれぞれに申請すると発表した。米国では緊急使用許可(EUA)を申請する計画で、12月17日にも審議される見通し。すでに逐次審査が進められている欧州は、条件付き承認を申請する考えだ。同社によると、3万例を超える症例を登録した臨床第3相試験の主要な有効性解析で、94.1%の予防効果が得られており、この結果に基づいて申請を行う。
◎臨床第3相試験「COVE」予防効果は94.1% 米国で3万例以上を登録
臨床第3相試験「COVE」には米国から3万例以上の症例が登録された。プラセボを対照に、mRNA-1273の新型コロナの予防効果を検討することを主要評価項目に据え、実施された。2回目のワクチン接種から2週間後の時点で、新型コロナウイルス感染症と確定診断された196例を対象に解析を実施した。新型コロナと診断されたのは、mRNA-1273群の11例に対し、プラセボ群では185例で、予防効果は94.1%と推計された。すでに
発表された中間解析は95例を対象にしており、同様な結果を示している(関連記事)。
◎mRNA-1273群で重症例は発生せず
副次評価項目に据えた、重症化の抑制についてはmRNA-1273群で重症例は発生せず、100%となった。試験で発生した重症例は30例で、すべてがプラセボ群だった。結果は、年齢や人種、民族、性別によらず、一貫していた。なお、65歳以上の高齢者は33例含まれていた。
安全性については、11月16日以前のデータについては、重大な安全性の懸念はみられないとしている。同社は引き続き、データの精査を進める考え。有害事象としては、注射部位の痛み、倦怠感、筋肉痛、関節痛、頭痛、注射部位の紅斑/発赤などが認められたとしている。なお、プラセボ群で死亡が1例あった。
◎モデルナ・BancelCEO「新たな強力なツールを提供する」
同社のStéphaneBancelCEOは、「このパンデミックの経過を変える可能性のある新しい強力なツールを提供すると信じている」とコメントしている。
同ワクチン候補をめぐっては、厚生労働省が10月29日、武田薬品、米・モデルナ社と3者契約を結んでおり、開発に成功した場合、2021年前半から合計5000万回分(2500万人分)が供給される予定。武田薬品は日本での製造販売承認申請を行うほか、完成されたワクチンを国内に輸入し、販売を担う。