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薬食審 9月4日に第二部会 頭頸部がんの光免疫療法用薬など新薬3製品を審議

公開日時 2020/08/24 04:49
厚生労働省は9月4日に薬食審医薬品第二部会を開き、新薬3製品の承認可否を審議する。審議品目は、卵巣がんを対象疾患とするPARP阻害薬・ゼジューラカプセル(一般名:ニラパリブトシル酸塩水和物、武田薬品)、関節リウマチに用いるJAK阻害薬・ジセレカ錠(フィルゴチニブマレイン酸塩、ギリアド・サイエンシズ)、頭頸部がんの光免疫療法に用いる抗体薬物複合体・アキャルックス点滴静注(セツキシマブ サロタロカンナトリウム(遺伝子組換え)、楽天メディカルジャパン)――となる。アキャルックスは先駆け審査指定品目。

また、この日の部会では、先駆け審査指定品目の抗HER2抗体薬物複合体・エンハーツ(トラスツズマブデルクステカン(遺伝子組換え)、第一三共)の胃がん適応について部会報告する。報告品目は医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。部会に報告されれば、その約1か月後に正式承認される。なお、会議はウエブで行う。

【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)

ゼジューラカプセル100mg(ニラパリブトシル酸塩水和物、武田薬品):「卵巣がん」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬。PARP阻害薬は、DNAの相同組換え修復機構が機能していないがん細胞に対し、特異的に細胞死を誘導する新規機序の薬剤。PARP阻害薬はアストラゼネカのリムパーザ(オラパリブ)があり、ゼジューラは承認されれば2番手となる。リムパーザは1日2回経口投与で用いるが、ゼジューラは1日1回経口投与で用いる。

ジセレカ錠100mg、同錠200mg(フィルゴチニブマレイン酸塩、ギリアド・サイエンシズ):「関節リウマチ」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

選択的JAK(ヤヌスキナーゼ)1阻害薬。JAKという細胞内の酵素を抑えることで、関節リウマチで炎症や関節破壊を起こすサイトカインの働きを抑える。同剤は1日1回投与で用いる。承認されれば、JAK阻害薬として5番手となる。承認取得後はギリアドが製造販売承認を保有し、販売はエーザイが担当し、両社共同で情報提供・収集活動する。

アキャルックス点滴静注250mg(セツキシマブ サロタロカンナトリウム(遺伝子組換え)、楽天メディカルジャパン):「頭頸部がん」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。先駆け審査指定品目。

EGFRを標的とするモノクローナル抗体のセツキシマブに色素IRDye700DX が結合した抗体薬物複合体(ADC)で、光免疫療法に用いる薬剤。頭頸部がんなどに発現するEGFRと結合した後、非熱性赤色光(690 nm)を専用のレーザー照射システムを用いて照射することにより局所的に励起される。これにより、標的細胞を選択的に壊死させることが期待される。なお、楽天メディカルはレーザー照射システムを3月19日に承認申請している。

■オプジーボ全適応で4週間間隔投与 肝細胞がんに対するテセントリクとアバスチン併用療法も

【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

ヤーボイ点滴静注液50mg(イピリムマブ(遺伝子組換え)、ブリストル・マイヤーズスクイブ):「結腸・直腸がん」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。ヒト型抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体(免疫療法薬)。今回、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸がんの効能を追加する。同剤とは異なる機序の免疫療法薬で抗PD-1抗体のオプジーボと併用して用いる。

オプジーボ点滴静注20mg、同100mg、同240mg(ニボルマブ(遺伝子組換え)、小野薬品):「結腸・直腸がん、腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、頭頸部がん、胃がん、悪性胸膜中皮腫、食道がん」を対象疾患とする新用量医薬品。

ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(免疫療法薬)。既承認のがん腫の全てについて、現在は1回240mgを2週間間隔投与する用法・用量が承認されているが、今回は1回480mgを4週間間隔投与できる用法・用量を追加する。また、既承認のMSI-Highを有する結腸・直腸がんの適応について今回、抗CTLA-4抗体のヤーボイとの併用療法を追加する。

テセントリク点滴静注1200mg(アテゾリズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「肝細胞がん」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体(免疫療法薬)。今回、切除不能な進行・再発の肝細胞がんの効能を追加する。抗VEGF抗体・アバスチン(ベバシズマブ(遺伝子組換え))と併用して用いる。

アバスチン点滴静注用100mg/4mL、同点滴静注用400mg/16mL(ベバシズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「肝細胞がん」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。抗VEGFヒト化モノクローナル抗体。今回、切除不能な進行・再発の肝細胞がんの効能を追加する。抗PD-L1抗体・テセントリク(アテゾリズマブ(遺伝子組換え))と併用して用いる。

エンハーツ点滴静注用100mg(トラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え)、第一三共):「胃がん」を対象疾患とする新効能・新用量・その他の医薬品。先駆け審査指定品目。抗HER2抗体薬物複合体。今回、サードライン以降のHER2陽性胃がんの効能を追加する。第一三共は今回の追加適応を5月7日付で承認申請した。

トルツ皮下注80mgシリンジ、同皮下注80mgオートインジェクター(イキセキズマブ(遺伝子組換え)、日本イーライリリー):「脊椎関節炎」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。

ヒト化抗ヒトIL-17Aモノクローナル抗体製剤。同じクラスの薬剤のコセンティクスが8月21日付で「既存治療で効果不十分なX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎」の効能追加承認を取得した。厚労省によると、今回のトルツの追加適応はコセンティクスの体軸性脊椎関節炎の追加適応と同様のものになる。
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