米FDA イラリスを成人スティル病治療薬として承認
公開日時 2020/06/19 04:50
米食品医薬品局(FDA)は6月16日、Novartis Pharmaceuticals Corp社(スイス・ノバルティス社の米法人)の成人スティル病治療薬Ilaris(一般名:カナキヌマブ、日本製品名:イラリス)を承認した。適応は、16歳以上の青少年および成人における成人スティル病。FDAは、同剤について優先審査の指定を行っていた。
同剤はすでに2歳以上16歳未満の小児および少年におけるSJIAの治療薬として承認されている。IL(インターロイキン)-1βを標的とするヒト型モノクローナル抗体製剤。
炎症性サイトカインの一種であるIL-1βはAOSDおよびSJIAにおける過剰な免疫反応に重要な役割を果たしていることが分かっている。このため、Ilarisは、IL-1βに結合し、その活性を阻害することによって患者の炎症を抑制するとみられる。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のNikolay Nikolovリウマチおよび移植医療部長は、関節痛や発熱、発疹のような症状を持つ成人スティル病患者に新たな治療選択肢を与える同剤の登場を歓迎した。
成人スティル病は、免疫系の異常により引き起こされる希少かつ重篤な自己炎症性疾患。発熱、関節痛および発疹などの症状の発現ほか、炎症性マーカー(CRP=炎症反応=上昇、白血球増多、血清フェリチン増加)などを呈し、全身性若年性特発性関節炎(SJIA)の症状と重複すると考えられている。両疾患は2つの個別の疾患というより連続性を持つ疾患と見られている。なお、スティル病は16歳以下の小児に見られる自己免疫性疾患で、成人スティル病と同様の症状を発現する。医学史的にはスティル病のほうが先に発見され、定義された。