日薬連・製薬協両会長が加藤厚労相と会談 中間年改定の延期要望 骨太で税制面の支援を
公開日時 2020/06/11 04:50
日薬連の手代木功会長と製薬協の中山讓治会長は6月10日、加藤勝信厚労相と会談し、骨太方針2020に関する要望書を手渡した。薬価毎年改定(中間年改定)については、新型コロナウイルス感染症への対応で医療現場が多大な負担を強いられていることなどから、今年度の薬価改定と21年4月に予定する中間年改定の延期を要望した。このほか新型コロナの治療薬・ワクチン開発や、海外からの原薬確保を含む安定供給などで政府の支援を求めた。研究開発税制の維持拡充(総額型)および手続きの要件緩和(オープンイノベーション:OI型)も要望。ジェネリック医薬品の普及確保、スイッチOTC薬の拡充の推進についても盛り込んだ。
政府の「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太方針)は例年6月中に決定する。今年は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言などがあり、骨太方針2020の取りまとめが7月にずれ込む見通しだ。
製薬業界もこのタイミングにあわせて加藤厚労相に製薬業界の対応を要望した。その筆頭には新型コロナの治療薬・ワクチン開発を掲げている。日薬連傘下に属する製薬企業も、ドラッグ・リポジショニング(既存薬の転用)に12社、ワクチンの研究開発・供給体制の整備に9社、新規治療薬(血液製剤・未承認薬含む)の研究開発促進に9社が参画している。加藤厚労相への要望では、治療薬・ワクチン創出のための「全体調整推進を担う司令塔機能の確立」や、感染症治療薬を研究開発する企業が持続的な投資収益を可能にするための支援を求めた。
◎時限措置の研究開発税制 継続・拡充を
税制面では、2020年度末までの時限措置である「売上高研究開発費率が10%超の企業に対する最大10%の控除上限上乗せ措置」を21年度以降も継続、かつ拡充するよう要望した。同様に時限措置の「控除率14%」、「研究開発費率10%超の追加向上率」の延長も盛り込んだ。OI型については、手続き要件の緩和などを求めた。なお、OI型は、件数、金額ともに増加傾向にある。前回改定で対象拡大と控除上限倍増したことにより、更なる増加が予想されるところ。ただ、OI型に合意できなかった件数も過去3年平均で2割に達しており、要件の緩和が望まれているところだ。
◎「有事における医薬品産業および医療現場の支援の在り方」-製薬協
「有事における医薬品産業および医療現場の支援の在り方」について、製薬協の「骨太方針2020に向けた提案」に盛り込んだ。新型コロナに関連する物資の増産や治療薬・ワクチン開発、すべての医薬品の安定供給に業界として注力する姿勢を示した。ただ一方で、新型コロナへの対応増大に伴うコストや労力など、「医療現場では多大な負担を強いられている」と指摘。平時とは異なる状況にあるとしながら、「21年に予定されている中間年改定の実施については、23年以降に延期するべきである」との見解も明記した。
◎GE薬 21年度までに全都道府県で数量シェア80%以上となる施策を
ジェネリック医薬品の普及と確保については、「21年度までに全都道府県での数量シェアが80%以上となる」よう必要な施策を要望。加えて、医薬品および原薬の特定国への過度な依存を改め、安定的な供給を担保するため、国内製造の推進及び海外製造国の多元化など、国内外におけるサプライチェーンの再構築にむけた施策を要望した。