米FDA GIST治療薬Qinlockを承認
公開日時 2020/06/05 04:50
米食品医薬品局(FDA)は5月15日、米Deciphera Pharmaceuticals Inc社のGIST(消化管間質腫瘍治療薬Qinlock(一般名:リプレチニブ)を承認した。適応は、イマチニブを含む3剤以上のキナーゼ阻害剤治療の受療歴のある成人におけるGIST。
同剤は、GISTの原因となるKIT遺伝子やPDGFRα(血小板由来増殖因子受容体アルファ)遺伝子変異を標的としたチロシンキナーゼ阻害剤である。GISTに対しては、第1選択薬イマチニブ、第2選択薬スニチニブ、第3選択薬レゴラフェニブに次ぐ、第4選択薬としての位置づけとなる。FDAは同剤について、優先審査、画期的新薬(BT)および希少疾病薬の指定を行っていた。
同剤は、FDA医薬品評価研究センター(CDER)腫瘍研究センター(OCE)が取り組んでいるProject Orbisと呼ばれる、抗がん剤について国際パートナーと共同で同時申請、同時審査を行うプロジェクトの対象品目となった。このため、オーストラリア治療製品管理局(TGA)およびヘルスカナダと共同で同時審査した。FDAは同剤を予定よりも3か月前倒しで承認した。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のRichard Pazdur腫瘍研究センター長兼腫瘍疾患部長代理は、「GISTに対する治療法の開発は、2002年発売のイマチニブ、2006年のスニチニブ、2013年のレゴラフェニブ、そして今年初めのアバプリチニブの4剤を含め過去20年で進歩を遂げてきたが、患者によっては奏功せず、腫瘍が進行し続ける」とGISTが難治性である点を指摘した。そのうえで、「本日の承認は、GISTに対して全薬剤を使い果たした患者に新たな選択肢を提供する」とQuinlockの登場を歓迎した。
Deciphera社のSteve Hoerter社長兼CEOは、「この疾患に対して特異的に設計された新規治療選択肢を待ち望んでいたGIST患者にとってエキサイティングなマイルストーンだ」と述べた。そのうえで、Quinlockの臨床試験に関与した医師、患者および家族など関係者に感謝の意を表した。
米国では毎年、約4000人から6000人が新規にGISTと診断されている。